2017 Fiscal Year Research-status Report
選択拡散分離技術の理論検証とその実用化のための研究
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17K06206
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
森下 明平 工学院大学, 工学部, 教授 (70599399)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 液相成分選択拡散装置 / 拡散分離部 / ディスプレーサ / リザーバ / 電磁駆動部 / デュアルハルバッハ界磁 / 着磁方向回転角度 / 継鉄 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は液相成分選択拡散装置(LSDSU)の基本設計を行い、重要部品(細管群で構成される拡散分離部、注射器で構成されるディスプレーサ、ステンレス製窓付きタンクで構成されるリザーバ)について、水漏れせずに予算内で加工組立するための製作方法を検討した。細管群は外径0.35 mm×内径0.25 mm×長さ135 mmのステンレスキャピラリーチューフ゛3600本とメチレンブルーの拡散の様子を目視するためのシリカキャピラリーチューフ゛360本で構成する。細管群については180本ずつ小分けにして束ね、両端を固定用六角スリーブに通してエポキシ充填して細管束をつくり、細管束を所定の形状にくり抜かれたステンレス製リザーバ側面にエポキシで固着する方法で安価に水漏れなく製作できることが分かった。また、ディスプレーサに用いるピストン/シリンジでは細管内の潮汐変位を精度よく正弦波にするため静止摩擦を極力排除して構成するとともに0.106 MPaの水圧で水漏れしないことが必要条件となる。この条件を満たすため、ディスプレーサには100 mlガラス注射器を使用する。さらに、ディスプレーサを駆動する電磁駆動部に用いる最大推力300 N/1.6 Aの45度回転型デュアルハルバッハ界磁を持つ円筒形リニア同期モータ(ステータ径 90 mm×ステータ全長 155 mm)を設計した。デュアルハルバッハ界磁の着磁方向回転角度を45度とすることで、ギャップ中の磁束密度分布の空間高調波成分は基本波に対して直流成分が3.1 %、2次高調波が0.35 %、3次高調波が0.14 %、4次高調波が0.06 %と直流成分以外は十分低い値となるが、直流成分を除去する手段として界磁の二重円筒の両端をリング状の継鉄で覆うことにより直流成分が0.011 %、すべての高調波成分が0.01 %以下になることを3次元磁場解析で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4000本の細管を水漏れなくリザーバに取り付ける方法を探すのに時間を費やした。 細管の一本一本を直径0.35mmの4000個の穴を持つ円板2枚に通してエポキシで固定する方法では穴あけと手作業にコストがかかりすぎ、予算内で実験装置が製作できないことが明らかとなり、拡散分離部の試作を伴う製作方法の探索に苦慮した。
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Strategy for Future Research Activity |
前期中に液相成分選択拡散装置を完成させるとともに水漏れ試験が完了するよう努めるとともに、この間に正弦波状の潮汐変位を得るための電磁駆動部の制御手法を確立する。 後期にはLSDSU の動作が正常であることを確認後、選定した複数の有色液相成分2種含有液を対象として選択拡散分離実験Ⅰ(目視観察/撮影、色度測定)を行い、液相2成分の分離が可能なことを光学的に実証する。この場合、加振周波数の初期値をKurzweg and Jaeger [4-7]の選択拡散分離理論から算出した値ωS に設定し、リザーバBへの拡散時間が最も早くなる周波数を探索する。このため、実機の固有角振動数の探索には2,3 ヶ月程度を見込む必要があるが、色度測定はリアルタイムで行えるので探索期間の短縮に有効であり、遅れを取り戻せるよう努める。なお、実験Ⅰは、LSDSU を水平設置して行うだけでなく垂直設置でも行う予定であるが、進捗状況によってはこの部分を割愛して最終年度につなげていく。
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Causes of Carryover |
研究計画では初年度に液相成分選択拡散分離装置(LSDSU)を製作完了する予定であったが、4000本の細管群で構成される拡散分離部の製作方法の決定に時間を要し、予算内で水漏れなくリザーバに取り付ける方法を探すための試作に予算を費やした。このため、LSDSU本体の発注が初年度にできなかったため、次年度使用額が発生した。本年度はすでに拡散分離部の製作方法が決まっており、早急にLSDSUを発注するため、当初の使用計画どおりに予算を執行する予定である。
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Research Products
(1 results)