2018 Fiscal Year Research-status Report
選択拡散分離技術の理論検証とその実用化のための研究
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17K06206
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
森下 明平 工学院大学, 工学部, 教授 (70599399)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 液相成分選択拡散装置 / 拡散分離部 / ディスプレーサ / リザーバ / 電磁駆動部 / シングルハルバッハ界磁 / 推力・位置協調制御 / 圧力勾配 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に設計した液相成分選択拡散装置(LSDSU)の拡散分離部に組み合わせる電磁駆動部のリニアモータを設計し、見積もりを取ったところ、二重円筒を構成する45度回転型デュアルハルバッハ界磁の製作費が高額になるためコストダウンが必要となった。その方法としてディスプレーサの注射器を100 mlのものから10 mlのものに変更し、ストロークを10倍にして推力が10分の1になるようリニアモータとディスプレーサ部の設計変更を行った。これにより、リニアモータに要求される推力は300 Nから73 Nに減少した。ここで、推力が10分の1にならないのはLSDSUを縦置き可能としたためである。さらに、当初は45度回転型デュアルハルバッハ界磁で二重円筒型リニアモータを構成していたが、新開発のシングルハルバッハ界磁を適用するとともにリング状ではなく角柱の永久磁石をもちいて界磁部を製作することでコストダウンを図り、45度回転型シングルハルバッハ角型リニアモータを再設計して製作した。また、拡散分離部の水漏れ試験結果から、次の条件が明らかとなった。① 8 N以上の推力で注射器を引くと注射器のラビリンスシールから空気が侵入する、② 長時間加圧を持続するとラビリンスシールの原理上のわずかに水漏れが発生する。これらの現象に対処するため、加圧側のリニアモータに推力制御を適用してわずかな水漏れ(微小な圧力損失)に対応するとともに、減圧側リザーバ内の溶液は空気が侵入しなければ非圧縮性流体とみなせることから減圧側リニアモータには位置制御を適用し、かつ減圧側リニアモータの推力が8 Nを超えないように加圧側の推力を制御して拡散分離部の細管群の両端に所定の正弦波状圧力勾配が発生する推力制御と位置制御の協調制御方式を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
4000本の細管で構成される細管群およびリザーバの水漏れ対策に苦慮するとともに、電磁駆動部の主要部品であるリニアモータを製作する段階になって予想外に高コストであることが判明し、リニアモータの再設計を行ったため、想定外の時間を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
完成した電磁駆動部を拡散分離部に取り付け、前期中ににはLSDSU の動作が正常であることを確認後、2成分で選択拡散分離実験Ⅰ(目視観察/撮影、色度測定)を行い、 液相1成分の拡散係数が増大することを実証して本研究に目途を付ける。この場合、加振周波数の初期値をKurzweg and Jaeger [4-7]の選択拡散分離理論から算出した値ωS に設定し、リザーバBへの拡散時間が最も早くなる周波数を探索する。このため、実機を用いた固有角振動数の探索には2,3 ヶ月程度を見込む必要がある。後期には、選定した複数の有色液相成分2種含有液を対象として選択拡散分離実験Ⅰ(目視観察/撮影、色度測定)を行い、選択拡散分離の理論を実証する。また、実験Ⅰは、LSDSU を水平設置して行うだけでなく垂直設置でも行う予定であるが、進捗状況によってはこの部分を割愛する。
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Causes of Carryover |
コストダウンを目的としてリニアモータを再製作した成果である。次年度使用額を次年度予算と合わせたは総額は530,848円であり、全額を液相成分選択拡散実験で使用する実験用の溶質,溶媒や記録用媒体等の消耗品の購入、液相成分選択拡散分離装置に不具合が発生した場合の修理費等に充てる使用予定である。
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Research Products
(4 results)