2017 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質結晶の熱伝導率および熱拡散率測定法の開発
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17K06215
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
藤原 誠之 明石工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90335985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 誠一 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00599251)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 熱伝導率 / 熱拡散率 / 非定常短細線加熱法 / リゾチウム / 磁気アルキメデス効果 / 結晶育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
非定常短細線加熱法の測定システムを構築し、熱伝導率および熱拡散率が測定できる状態にした。従来の非定常短細線加熱法の測定プローブは自然体流の発生時間を遅らせるため、垂直に細線を張っている。しかし、本研究では気液界面での測定を行うため、水平に細線を張った測定プローブを開発した。そして、卵白リゾチーム(HEWL)を水に溶解し、塩酸でPHを調整したのちに、沈殿材の塩化ガドリニウムを添加し、再現性良く結晶を育成できる組成比を見つけるとともに、温度管理を含め結晶育成技術を習得した。次に、超電導磁石内における結晶成長の様子を観察するため、硬性鏡、試料容器を設置する治具を開発した。 これらの冶具を直径100mmの超電導磁石のボアの中へ入れ、上記方法で調整したHEWL溶液を入れた試料容器を冶具で固定し、磁場を掛けながら結晶育成を試みた。その結果、2.23で磁気アルキメデス効果によって無重力状態となることが確認され、これは数値解析結果と良好に一致することがわかった。更に磁場の強さを上げると、HEWL結晶が浮揚し、気液界面に蓄積することが確認された。また、2.23Tより若干高い程度の磁場では、多くの結晶が試料容器壁面に付着することがわかった。これは、ボア内の磁場には半径方向にも若干強度分布があり、それによって中心方向にわずかな磁気力が発生している。磁場が弱い場合はその磁気力が弱く、試料容器壁面に結晶が付着したものと考えられる。従って、きれいに観測するには比較的大きな磁場が必要であることがわかった。 以上の結果をふまえ、磁気浮揚させた状態で気液界面においてHEWL結晶を育成し、そこに非定常短細線加熱法のプローブをあらかじめ設置し、HEWL結晶の熱伝導率および熱拡散率の測定に成功した。また、二液法に関する結晶育成技術に関しても実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置を構築し、熱伝導率および熱拡散率が測定できる状態となった。そして、HEWLの結晶育成技術を習得した。また、超電導磁石を用いHEWLの磁気浮揚に成功し、気液界面に結晶を集めることが出来た。更にそこにプローブを設置することにより、HEWL結晶の熱伝導率および熱拡散率の測定に成功した。以上により、本研究を行うための基本的な準備は整った。磁場の向きを変えるハイパーグラビティ実験もプローブのリード端子長を変えるだけで対応できる。二液法に関しては、これから詳細な実験が始まるが、磁気浮揚実験と比べて技術的ハードルは明らかに低い。従って、当初予測した通りの研究が進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は磁場の向きを変えたハイパーグラビティ状態の実験を行う。そのために、プローブの設計を変更する。スポット溶接の作業性を向上させる溶接端子は、別途研究費で購入した。課題はプローブ高さの調整法だが、現在のねじを利用した蓋を用いた調整で対応可能である。また、二液法の結晶育成技術を確立する。今年度の水およびHEWL結晶より高密度で安定なフロリナートを用いた予備実験で、二液界面(HEWL溶液と高密度液体の界面)での結晶育成に成功している。しかし、気液界面の形状や安定性に多少問題があることがわかった。従って、フロリナートの粘度を変え、二液界面の形状変化を調査する。また、フロリナートを用いても実験に耐ええるが、更に、二液法の使用に資する有効な液体がないかを調査する。
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Causes of Carryover |
定電流、電圧発生器に関し、当初予定していた機種と同等で安価なプログラマブル電源を見出した。次年度はハイパーグラビティによる実験を行うため、プローブのリード端子が長くなる。そのため、リード端子の強度を上げる必要が生じる可能性がある。従来の直径1㎜の白金棒から2㎜の白金棒へ変えた場合、プローブ製作費が著しく上昇するため、その点を考慮して次年度へ残した。
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Research Products
(1 results)