2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on stabilization of magnetically repulsive levitation system with high temperature superconducting magnetic bearings
Project/Area Number |
17K06224
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
村上 岩範 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80292621)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超電導浮上 / 磁気反発浮上 / 磁気軸受 / 無制御 / エネルギー貯蔵 / フライホイール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、磁気反発力を浮上力に利用した非接触磁気浮上系を無制御で安定化させる手法として、高温超電導体によるピンニング効果を用いて磁気反発浮上系の浮上方向以外の非常に大きな不安定力を相殺する手法を提案し、主に磁気反発による浮上力を用いた完全非接触浮上系を実現させ、この様なシステムの種々の設計指針を明らかにする研究である. 平成30年度は平成29年度に試作・開発した超電導磁気軸受(Superconducting Magnetic Bearing: SMB)の特性を明らかにするため、以前の研究(課題番号:26420166,「高密度磁束集束法を用いた高温超電導磁気軸受の特性解析に関する研究」)において試作したSMBとの特性比較を実施した。これにより、今回提案するSMBにおける高温超電導体(High Temperature Superconductor: HTS)の使用量がどのように変化しているかを検証した。また磁気反発部の永久磁石間距離を変化させることによって、非接触磁気浮上軸受としての各方向剛性の推移についての検証を実施した。 具体的には今回提案したSMBの浮上力特性、半径方向復元力特性、浮上側(永久磁石構成部分)の磁束密度分布に関する精密な数値解析および、実際の計測を実施し、本研究の様な複合的永久磁石配列における数値解析結果の妥当性の検証を実施しつつ、SMBの機械的特性を明らかにし、従来研究のSMBの計測結果と比較を実施した。この結果、磁束密度の数値解析結果は実測値とよく一致しており、今後の設計において本数値解析は実際の装置の特性を予測するのに十分であることが確認された。また軸受としての機械的特性は今回提案のSMBと以前の研究におけるSMBでほぼ同等の特性を得ることが可能となった。今回提案のSMBはHTS使用量が前研究の半分であり、大幅な低減効果があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究では、平成29年度で実施していなかった磁気反発部の磁束集束状況、浮上力、水平方向推力、ピッチング方向推力の各力が磁気反発部の固定側(以下ステータ側とする)の永久磁石形状もしくは磁石配列によってどの様に変化するかを数値解析によって推定した。この際、磁石形状の変更については実際の装置試作において困難な形状を除く必要があることから自由度が低くなるため、主にステータ側磁石配列の変更についての解析を実施した。 この結果、浮上力と、これと垂直な方向に発生する不安定力を最適化する方向性を明らかにした。 また、ステータ位置を変更することによって、半径方向剛性が著しく変動することを確認し、本研究で試作した実験装置における無制御安定化限界を明らかにした。 このように平成29年度に実施していなかった研究について平成30年度において検討を行い、さらに平成30年度に実施予定であったフライホイールとしての特性解析は平成29年度から継続して平成30年度においても実施している。平成30年度においては、1次の危険速度を無制御で乗り越し、前年度に比べてさらに回転数を上昇させ、フライホイールの設計強度限界である200[rps](12,000[rpm])まで駆動できることを確認した。 更に、前研究とのSMB特性の比較を行い本研究で提案した超電導ピンニングによる磁気反発浮上系の安定化を実施したSMBはHTS使用量を1/2にしたにもかかわらず同等の機械的特性を発揮しうることを明らかにしている。 以上のことから当初研究計画に比して若干ではあるが進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度において、本研究で提案した磁気反発型磁気浮上を安定化させたSMBを使ったフライホイールの駆動、エネルギー貯蔵、エネルギー回生を実施する予定である。この際、これまでの研究によって明らかとなった1次の危険速度で発生するふれまわり振幅を低減させるための制振機構の開発を実施する。これにはステータ側磁石の磁束密度を電磁石等により制御することによって半径方向剛性を大きく変動させる手法を検討している。これにより浮上系の共振点を変化させ、これまでの1次共振を乗り越す手法を取ることとする。 また浮上力の向上と半径方向不安定力の減少を良質させるようなステータ側磁石配列の最適化についても継続して検討していく。その際、GA(遺伝アルゴリズム)等の最適化手法の適応も考慮することする。これまで、磁気軸受における磁石配列に対してこの様な研究は殆どなされてきていないことから、新たな研究のシーズとなると考えられる。 さらに、現在使用しているフライホイールは設計強度上の限界まで駆動が実現できているため、新たなフライホイールの設計も行う予定である。 以上の課程を各段階でまとめ、随時、学会発表、論文投稿を行い、研究成果を公表することとする。
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Causes of Carryover |
平成30年度に次年度使用額が発生した原因は超電導バルク材の導入を停止したことが原因である。これの代替として、平成29年度に試作した実験装置を用いての特性解析、以前の研究との比較による本研究の有用性の確認を重点的に研究したためである。これは、当初申請額に対しての減額分を考慮すると、研究計画通りに超電導バルク材を導入するより、申請者が所持するHTSを使用したSMBの特性をより明確に検証することにより研究の進行が図られると考えたためである。結果的には従来の研究計画に比してより研究をが行させることができたと認識している。また、30年度に発生した残余金はわずかであり、研究の進行度から考えても令和元年度の予算と合算して使用した方がより有用で有ると考えられる。 令和元年度では新たな小型のHTSバルク材の購入を視野に、新しいフライホイールの試作並びに成果発表、成果公表に対して柔軟に対応していく予定である。
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Research Products
(2 results)