2021 Fiscal Year Research-status Report
低次元化モデルを併用した連結走行体と走行路の耐震性能向上技術の開発
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17K06235
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
新谷 篤彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90295725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 智皓 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70582336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 交通工学・国土計画 / 地震 / 減災 / 耐震 |
Outline of Annual Research Achievements |
連結走行体のオリジナルモデルと低次元化モデルをうまく使い分けて,走行路の影響を考慮した連結走行体の地震時の応答挙動を調べ,地震時走行安定性を向上することが緊急の課題である.平成29年度は(1) 連結体の特性を考慮した低次元化モデルを作成し,平成30年度は(2) 走行路のモデル化を行い,(オリジナル・低次元化) 走行体―走行路連成モデルをおおむね完成した.令和元年度以降は(1),(2)の補充を進めつつ,(3)完成した走行体―走行路連成モデルを用いて地震時の応答を調べ始めた. 特に令和3年度は,昨年に引き続き,相関係数に着目しつつ,地震の違いや車両の質量分布による低次元化モデルの違いに注意して地震時の応答を調べた.全体的には,車両の中央部分ほど運動を再現しやすく,端ほど運動を再現しにくい,低次元化モデルを考えた際に全車両が同じように水平方向やロール方向に動くモードが多く抽出される,等の結果が得られた. まず,車両の軽量化への対応として車両の質量を変化させたときの影響を調べ,車両モデルの固有振動数と入力波の卓越振動数が近づくと低次元化に多くのモードが必要になる,モーター車や付随車を想定した質量の異なる車両が混在すると低次元化のモード数が多くなる,質量の違う車両のつなぎ目の運動の再現性が少し低くなる,などの結果が得られた. 新潟中越地震,熊本地震,東北地方太平洋沖地震の3つの地震に注目し,低次元化における地震の影響を調べた.それぞれの地震をもとに低次元化モデルを作成することができたが,低次元化を行ったとき,大部分が共通するモードであったため,3つの地震に共通して使える低次元化モデルを作成することができた. これらの結果をもとに地震の種類,走行路に対する耐震性の傾向をさらに明確にし,低次元化モデルとオリジナルモデルの特性の差を明確にし,耐震設計につなげていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度,研究代表者がコロナウイルス対策関連で,研究室の学生の対応や授業への対応などの研究活動以外の業務に手がかかり,本課題の研究に費やす時間が十分には取れなかったことについては,やや遅れていると考えられる. しかし令和3年度の研究では,研究に協力する学生を増やし,上記の研究実績の概要にも示したように地震の種類や車両の質量分布などに注意し,低次元化や地震応答の調査を行い,これらの影響が明確になってきた.また,走行路の影響の確認や低次元化モデルで選ばれやすいモードの特徴なども明らかになってきた. これらをまとめ,令和4年度は,オリジナルモデルと低次元化モデルのうまい使い分けを行い,地震応答解析のとりまとめを行って,耐震性能の向上を目指したい.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度までの研究によって低次元化モデルにおける選ばれやすいモードの特徴,走行路の影響が明確になってきた.また,地震の種類や車両の質量分布に関しても,低次元化モデルへの影響が分かってきた. これらを受けて令和4年度は,最初の計画にもあったように低次元化モデルをもとに種々の簡易検討を行い,耐震性の傾向を把握する.そののち,オリジナルの走行体と走行路の連成モデルから低次元モデルで検討できない詳細な点の検討を行う. 特に,地震の種類,質量分布や走行路に対する耐震性の傾向を把握し,低次元化モデルとオリジナルモデルの適切な使い分けについて調べ,特性の差や利点欠点を明確にし,地震時の高速走行体の耐震性能向上につなげていきたい. また,研究代表者,研究分担者と新たな研究協力者の間の情報交換も円滑になってきているので,より情報交換を密にし,円滑に行うように研究を進めていきたい.
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Causes of Carryover |
大学の教育活動など,本研究以外の業務に予想以上の時間を取られたため,少し研究が遅れ気味であった.さらにコロナウイルス対策関連で,前年度同様,学外へ出かけて対面の発表や調査,ディスカッションなど機会が減り,旅費の使用が増えなかった.そのため使用額が少なめとなり費用が残った. 次年度は上記の今後の研究の推進方策に基づき,必要に応じて解析用の計算機などを導入し,解析をさらに進めたい.また,WEB会議等もこれまで以上に積極的に利用し,研究代表者,研究分担者,新たな研究協力者その他の間の情報交換を進め,議論を重ね,より円滑に行うようにしたい.さらにこれまでの研究成果の報告,発表,まとめに取り組み,予算を効果的に使っていきたい.
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