2018 Fiscal Year Research-status Report
市街地運転支援のための潜在的危険要因の行動予測に基づく経路計画システムの構築
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17K06252
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
赤木 康宏 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (90451989)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒヤリハット / 交通事故分析 / サンプリング / リスク予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は,リスク顕在化予測手法の構築として,ヒヤリハット事例を体系的に分類し,データベース化するためのシステムの構築,および,交通ヒヤリハット事例に対する確率論的モデルを用いた分析法を開発した.その概要を以下で説明する. (1)交通ヒヤリハットデータベースの構築 東京農工大学保有するヒヤリハットデータベースシステムは,低速であり計算機による事故事例の解析が困難であるという課題があった.これを解決するために,Ontologyに基づく新たな交通事故形態分析法を提案した.本研究により,ソフトウェアからのアクセスが容易であり,従来法に比べ30倍以上高速にデータ検索が可能なシステムを実装した.また,20台の新たなドライブレコーダーをタクシーに設置し,本データベースのための事例収集を実施中である. (2)事故リスクを指標とした車両運動パラメータの特徴抽出手法の構築 ヒヤリハット事例などから車両の運動パラメータを抽出した際に,そのパラメータとリスク指標との関連性を解析することができれば,ヒヤリハット前の行動から,リスク指標を推定することが可能になる.具体的には,運動パラメータとリスク指標の組を収集し,混合ガウスモデルにより近似する.そして,走行中の車両から得られた運動パラメータのみを固定値として,マルコフ連鎖モンテカルロ法に基づくデータサンプリングを行うことで,リスク指標の期待値を推定する.この方法は,特定の運転行動や運動モデルに依存しないという特徴があり,様々な場面に広く適用でき,かつ,結果は同じスケールをもつリスク指標の期待値であることから,汎用性が高い.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒヤリハットデータベースの構築が完了し,既存のシステムからのデータ移行や,新規システムを用いたデータ収集が順調に実施できている.また,事故が顕在化した際の事象であるヒヤリハット事例を用いて,その事故リスク値を運転行動データから推定することを可能にしたことは,本研究課題の目的である潜在的な事故要因が顕在化する確率を推定するモデルを構築する際の基盤技術として有用である.以上の理由から,研究はおおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
リスク顕在化予測モデル構築 不安全行動(見通しの悪い交差点からの飛び出しや強引な割込み)に至るまでの交通参加者の状態をマルコフ決定過程モデルにより記述し,ヒヤリハットデータベースに含まれる実事例に適用することで,その発生確率と要因(環境要因との相関性)を推定する. 実環境における評価 交通環境要因から潜在リスクの顕在化確率を推定することで,減速などを自動的に実施する車両を実装し,市街地において走行実験を行うことで評価する.
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Causes of Carryover |
H30年度は国際会議などの予定されていた旅費が支出されなかったため次年度使用額が生じた.現在,研究成果を投稿中の国際会議があり,当該額を支出する計画がある.また,H31年度は公道での実験を予定しているため,謝金などの支出実績のない費目も,当初予定に準じた使途となる見込みである.
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