2018 Fiscal Year Research-status Report
ねじりフレクソエレクトリック効果の特性解明と新しい角加速度センサの開発
Project/Area Number |
17K06258
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
辺見 信彦 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (80256669)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フレクソエレクトリック効果 / 圧電素子 / PZT / ねじり / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
PZT角柱のねじりによるフレクソエレクトリック効果について調査した。昨年度までに制作した装置は,試験片をチャッキングしてねじりを加えるのに,回転チャックから伸ばしたアームの先端を積層型圧電アクチュエータでバイアスをかけて押す方式のねじり実験装置であった。これにより複数の素子で分極量の大きさのばらつきなどを確認し,分極処理の有無及び分極方向に対する電極の位置関係に対するフレクソエレクトリック発生分極の大きさを詳細に調査した。次に周波数特性を調査した。その結果,フレクソエレクトリック分極の大きさの周波数特性に強い非線形性があることが分かってきた。非常に強い非線形性であったため,この結果がねじりを加える実験装置に依存する可能性も考え,圧電アクチュエータで押す形式から,モータで加振する方式に変更した。これにより,片側ねじりだけではなく両側へのねじりも可能になった。さらに回転チャックの保持軸受の隙間をこれまで隙間ばめにしていたのを閉まりばめにし,より回転制度を向上させた。新規に製作した実験装置に置いても強い非線形性が確認されたため,材料の特性であることが明らかになった。この加振周波数に対し,フレクソエレクトリック分極が強い非線形を有することは学術的には新しい発見であり,予想外の事実であった。そのため,引き続き詳細な状況調査を継続しており,加振周波数に対する分極の大きさと,ねじり振動の角加速度に対する分極の大きさとして整理するなど調査検討している。非線形性の存在は学術的には新しい事実であり,大変に興味深いが,工業的なセンサ応用を考えると,実用化に向けた視点からは大きな課題となる状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験片によるPZTのフレクソエレクトリック分極の大きさが周波数に依存するという事実は新しい大きな発見であり,その面では大いに進展したと言えるが,一方でセンサ応用ということを考えると,実用に向けて大きな課題となる側面を持っている。本研究の目的がフレクソエレクトリック効果の詳細な調査と,ねじり振動センサへの応用と実用化に向けた課題の明確化であるため,全体として考えると概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はねじり加振の周波数に対する非線型性を詳細に調査していく。特にフレクソエレクトリック係数として評価した場合にその非線形特性がどのような傾向になるかをまず調査する。振幅の大きさによる分極の周波数依存性を調査する。電極間の位置,分極処理の状況なども調査する。装置のモーターによるトルク安定性も正確に把握し調整する。 実験装置を圧電アクチュエータで押す方式からモータで駆動する方式に変更したことによって,初期押し込み量,すなわち負荷トルクのオフセットの量を簡単に0やマイナスに変更できるようになった。そこで,ねじり振動を正方向,負方向,正負両振りなどの検討も加える。そして角加速度センサとしてフレクソエレクトリック効果を利用するにあたっての課題を明確化していく。
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Research Products
(2 results)