2018 Fiscal Year Research-status Report
A multiple DOF manipulator with rolling contact joint mechanism driven by super-coiled polymer actuators
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17K06259
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西川 敦 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (20283731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 憲泰 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (30778816)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アクチュエータ / ナイロン繊維 / 転動関節機構 / 遊星関節機構 / 拮抗駆動系 / 撚糸機 / 繊維機械 / 多自由度マニピュレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年にHainesらによって提案されたナイロン繊維アクチュエータ(Super Coiled Polymer (SCP) アクチュエータ)が次世代ロボットのアクチュエータとして期待されている。本研究の最終目標は、SCPアクチュエータの低い収縮率を楕円型転がり接触関節機構(転動関節機構)を利用することで解決し、低コスト・コンパクトな多自由度マニピュレータの具現化を行うことである。2018年度の実績は以下の4点である。 (1)【論文】非対称拮抗駆動系の筋協調制御に関する2017年度までの成果を論文化した(Applied Bionics and Biomechanics)。 (2)【機構】2017年度までに提案した角度増幅型転動関節機構を用いて、2本のSCPアクチュエータを拮抗配置した拮抗駆動系の構築を行い、角度制御実験を通して、構築した拮抗駆動系の関節角度の目標値追従性について検証した(日本機械学会ROBOMECH2018)。 (3)【制御】SCPアクチュエータはヒステリシス性を有することが知られているが、拮抗駆動系全体としてのヒステリシス性は明らかになっていない。そこで、SCPアクチュエータの筋協調制御系を新たに構築して制御実験を行った。その結果、筋協調制御下において、アクチュエータの協調度合いと関節角度との間に最大33%のヒステリシス幅を有するヒステリシスループが確認された(日本機械学会ROBOMECH2018)。 (4)【作製】SCPアクチュエータを連続的に生成・回収可能な製造工程の実現を目的とし、市販の撚糸機DirecTwistを用いてSCPアクチュエータの自動作製を試みたが、断続的なコイル生成を繰り返すにとどまり、太さ3号(直径0.29mm)のナイロン繊維を用いた場合、コイル化したナイロン糸は約10cm、最長で17cmであった(日本機械学会ROBOMECH2018)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度(2017年度)の研究実施状況報告書における「今後の研究の推進方策」として、以下の3つのサブ課題を掲げていた。 (1)【機構】SCPアクチュエータの収縮量を機械的に増幅する転動関節機構を用いた拮抗駆動系の構築と制御:前年度に達成した2つの成果を組み合わせることで、本研究の根幹となる転動関節機構の可動範囲や目標値追従性などの各種性能評価を行い、最終年度の多自由度マニピュレータ構築に向けた課題を明らかにする。 (2)【制御】SCPアクチュエータを拮抗配置した1自由度拮抗駆動システムに対するヒステリシス性の検証:SCPアクチュエータはヒステリシス性を有することが知られているが、拮抗駆動系全体としてのヒステリシス性は明らかになっていない。そこで、まず、拮抗するSCPアクチュエータの協調度合いの定式化を行い、筋協調制御系を新たに構築する。次に、拮抗駆動系に対し、構築した筋協調制御を実装し制御実験を行い、系全体のヒステリシス性を検証する。 (3)【作製】市販の撚糸機を用いたナイロン繊維アクチュエータの作製と評価:市販の撚糸機では通常のナイロン繊維の施撚が可能であるが,ナイロン繊維アクチュエータとしての機能として十分な特性を持つか否かは明らかになっていない。そこで、太い径のナイロン繊維を用いたアクチュエータを連続的に生成・回収可能な製造工程の実現を目的とし、本研究組織で保有する市販の撚糸機を用いてナイロン繊維アクチュエータの自動作製を試みる。 これらのサブ課題全てについて、予定通り実施・達成することができたことに加え、原著論文を1編出版することもできたことから、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、これまでの2年間の研究で明らかになった課題を踏まえ、以下の2つのサブ課題に集中的に取り組み、研究成果をまとめる。 (1)マンドレル型SCPアクチュエータの作製と評価:SCPアクチュエータを作成するためのコイル化の方法として繊維の端から端までコイルで満たされた状態になるまでツイストする方法(オーバーツイスト型)と、一定数のツイスト後に芯棒に繊維を巻きつけることによりコイルを形成する方法(マンドレル型)がある。2018年度まではオーバーツイスト型のSCPアクチュエータを用いた拮抗駆動系の開発とその制御に取り組んできたが、可動範囲・ヒステリシス性などいくつかの課題も明らかになった。これらの問題解決の糸口を探るべく、2019年度はマンドレル型SCPアクチュエータの作製・評価にも並行して取り組む。 (2)撚糸機を用いて作製されたナイロン繊維アクチュエータと従来手順によるアクチュエータの比較:本研究では、従来法により作製されたSCPアクチュエータの性能にばらつきが大きい点を改善するため、アクチュエータの作製を簡便にする撚糸機について研究を行ってきた。2017年度に撚糸機を試作し、2018年度には既存の撚糸機を用いたSCPアクチュエータの作製を行ったが、その結果として、撚糸機によりナイロン繊維のコイル化を行うには、撚り速度・巻き取り速度・施撚時の張力において厳密なパラメータ調整が必要であることが明らかになった。2019年度は、これらの結果を踏まえ、より長大で均一なナイロン繊維のコイル化を目指した作製機の開発を行い、開発した撚糸機で作製したアクチュエータの一部と、既存の確立された手法にて作製したアクチュエータとで駆動時に変位または力にどの程度差異が出るか調べる。
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Research Products
(5 results)