2017 Fiscal Year Research-status Report
インピーダンス制御を導入した先進運転支援システムのドライバ受容性向上に関する研究
Project/Area Number |
17K06262
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
早川 聡一郎 三重大学, 工学研究科, 准教授 (50288552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人間機械システム / ヒューマンマシンインターフェイス / 運転支援システム / インピーダンス制御 / 減衰比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではドライバの受容性の高い介入支援システムの実現を目的としている。本年度は提案するインピーダンス制御に基づく運転支援システムのドライバ受容性を高めるインピーダンスパラメータ設計のため、減衰比を用いた評価指標を提案しその有効性について検討を行った。 提案する運転支援手法は、介入支援時に、ステアリングに対して粘性係数とばね定数に基づき導出されるトルクを印加することでインピーダンス制御を実現し、自動車のステアリングのインピーダンスを変化させることで介入支援を実現している。自動車のステアリング系に対してトルクを印加するため、二つのパラメータのドライバの受容性を高める最適値は容易に導出できない。ばね定数は操舵介入時のドライバへのアシストトルクに依存するパラメータとなり、粘性係数が受容性改善に関係する係数となり、この最適値を導出する必要がある。しかし、このままではアシスト強度毎、車両毎、走行状況毎に実験により導出する必要があるため手間がかかる。そこで、車両のステアリングダイナミクスと導入した二つのインピーダンスパラメータが一つの式にまとまる減衰比を評価指標とすることを提案した。これにより、介入支援時に受容性の高まる減衰比が定まっていれば必要な印加粘性係数が導出できる。 提案する減衰比がパラメータ設定に有効な評価指標になるか実験により検証した。本提案手法を実装した停車車両に対して回避支援を行う運転支援システムを対象とし、ドライビングシミュレータにて受容性評価実験を行った。その結果、アシスト力に依存するばね定数値が変化しても、受容性が最大となる減衰比の値は同一となった。ドライバ受容性が高い減衰比を事前に決定しておけば、粘性係数の最適値を導出する実験は以後は必要なく、受容性が高いインピーダンスパラメータを決定できることが確認でき、提案する運転支援システムと評価指標の有効性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年の研究計画では、本研究を遂行するのに必要な実験装置であるドライビングシミュレータの改修と、それを用いて、提案するインピーダンス制御に基づく運転支援システムに対して、ドライバの受容性を高めるインピーダンスパラメータ設計のため、減衰比を用いた評価指標を提案しその有効性について検討を行うことを予定していた。 実験装置であるドライビングシミュレータは、当初の予定通り各種のHUDを実現するため、追加の支援情報表示モニタを追加するなど必要な改修作業を実施し、さらにインピーダンス制御を導入した運転支援システムを実装した。 このように当初の研究計画の予定通りに改修が完了したドライビングシミュレータを用いて、パラメータ設定のための評価指標として提案した減衰比の有効性を検証するため実験を行った。そして、提案するインピーダンス制御を導入した運転支援システムが従来型運転支援よりドライバ受容性が高いこと、減衰比を用いた評価指標がインピーダンスパラメータ設定やドライバの受容性評価に有効性であることを示した。さらに、平成30年度に研究を実施予定であるHMIデバイスについて、その一部を先行でドライビングシミュレータに実装し、提案する運転支援システムにHMIを導入することでドライバ受容性がどのように変化するかの予備実験も実施した。 こうしたことから、本年度の研究は、一部は当初の予定以上に進捗し、当初の予定していた事項については全て完了していることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、インピーダンス制御を用いた運転支援システムの有効性が確認でき、また、ドライバの受容性の評価指標として減衰比の有効性も示され、この評価指標がインピーダンスパラメータ設計や今後のHMIデバイス評価に使用できることも確認できた。 今後は、これらの研究成果を用いて、ドライバがHMIにより提示された情報を理解し行動を起こすまでの時間に基づき決定される提示情報量という新しい評価指標に関して研究を進め、評価指標としての確立を目指す。 そして、本研究で確立した二つの評価指標を駆使し、ドライビングシミュレータに実装したHUDをはじめとする多種のHMIデバイスを用いて実験を行い、ドライバに対して与える情報量が過剰にならないよう必要最低限に抑制しつつドライバ受容性が向上するHMIを選定して、提案する運転支援システムに実装してその有効性を示すことを目指す。
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