2018 Fiscal Year Research-status Report
水中ロボットのための低摩擦・流体下における多関節グリッパの包み込み把持
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17K06274
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
坂上 憲光 東海大学, 海洋学部, 准教授 (20373102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小金澤 鋼一 東海大学, 工学部, 教授 (10178246)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水中ロボット / 多関節グリッパ / 包み込み把持 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節剛性を調整でき包み込み把持可能な水中多関節グリッパを開発し,その有効性を検証するため水流中での物体把持実験や水中ロボットに取り付けた状態での把持実験を行った. 開発した水中多関節グリッパは4台のモータと差動歯車,バネの組み合わせによって把持運動と関節剛性の調整を可能とした.駆動モータは防水容器に収められ,駆動トルクはマグネットカップリングを通して水中のグリッパの各関節に伝えられ,グリッパが開閉する.加えてバネの伸びを調整することで関節剛性も変化できる水中グリッパとなった. 同時にグリッパを搭載する予定の水中ロボットの改良も行った.グリッパ作業時の環境の視認性を上げるためLEDライトを取り付け,アクチュエータによりカメラ角度を変更できるようにした.また映像の遅れを小さくするため通信機器およびケーブルの変更も行った.グリッパ操縦のためのソフトウェア修正も行った. 実験では,グリッパ単体を回流水槽中に設置し,流速を変化させ,流体抵抗を受けた状態のグリッパ形状の変化や把持性能の検証を行った.包み込み把持の特性を調べるため,柔らかさのあるタワシや硬い植木鉢,水中重量のあるビンを把持対象として選んだ.それぞれの対象物に対して関節剛性と流速を変化させ,把持試験を行った.関節剛性は3パターン,流速は0~0.9[m/s]の範囲で変化させた.いずれの場合でも関節剛性を大きくすることで流速が大きくなる状況でもグリッパの把持性能を上げることができ,本グリッパの有効性を確認することができた. もう一つの実験では,水中ロボットにグリッパを搭載し,大型水槽での動作試験を実施した.操縦者が水中ロボットのカメラ映像を確認しながらグリッパおよびロボット本体を操縦し,物体把持を行った.物体把持後のロボットの移動時においても,グリッパは把持対象を離すことなく安定した包み込み把持を実現できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,水中において包み込み把持を実現する多関節グリッパを実現するため, (1)水中ロボット-グリッパのシミュレータ開発 (2)グリッパ開発およびグリッパの単体実験の課題を挙げていた. (1)に関しては昨年度作成した流速や抗力係数を変えられるグリッパ単体のシミュレータを元に,水中ロボットの運動を合わせたグリッパのシミュレータの開発に取り組んでいたが,数理モデルの導出の部分で時間を取られたため完成までには至らなかった.今後も継続して開発し,それを用いた詳細な解析を2019年度前半には完了させる予定である.一方で(2)については計画以上に順調に進み,本来なら2019年度に実施する予定であった水中ロボットとグリッパの統合や水槽実験の一部を既に実施することができた.課題(1)は一部達成できていないが,課題(2)を達成し,さらに2019年度に計画していた水中ロボットとグリッパとの統合と一部の水槽実験は既に終えており,全体的には「おおむね順調に推移している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
まず第1に,昨年度開発したグリッパ単体のシミュレータを元に水中ロボットの運動を合わせた水中グリッパのシミュレータを完成させ,それを利用した物体把持等の解析を実施する. 第2に,今年度の課題に挙げていた水中ロボットとグリッパとのハードウェア的な統合は既に済んでいるが,水中作業の効率化を目指し,今後はソフトウェアとハードウェアの両面からグリッパ及び水中ロボットの改良を行う. 最後に,本年度の課題に挙げていた多関節グリッパを用いた物体の計測の可能性についても実験的に議論する.包み込み把持時の多関節グリッパの形状は対象物の形状推定に役立つ.これに加え,グリッパの関節剛性の情報を用いれば対象物の硬度を推定できる可能性がある.これらの情報を利用して水中物体の計測の可能性について実験的に議論する予定である.
これらの予定に加えて,前年度までの成果については既に国内会議,国際会議,投稿論文にまとめる形で共同研究者と進めている
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Causes of Carryover |
当該年度で購入予定だった物品については価格変動もあり安価に購入することができた.一方で,防水に関係する物品については計画よりも費用が掛かることが分かったため,次年度以降の予算で購入することにした.
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