2018 Fiscal Year Research-status Report
コンプライアンスに注目した適応クローラロボットにおける対地適応性の最適化
Project/Area Number |
17K06278
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥川 雅之 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50290747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20321474)
大金 一二 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (70255230)
木村 哲也 長岡技術科学大学, 技術経営研究科, 准教授 (70273802)
大坪 義一 近畿大学, 理工学部, 准教授 (90257973)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 移動ロボット / 不整地走破 / 対地適応性 / 環境適応 / 移動知 / コンプライアンス / ダイナミクス / 標準試験法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,最適な対地適応性を有するクローラロボットの実現を目指し,(1) 適応クローラロボットにおける受動性と能動性の融合,(2) サブクローラ関節のコンプライアンスを設計パラメータとした構造と制御の同時最適化,(3) コンプライアンス最適制御系設計手法の確立を研究課題としている.
受動適応クローラロボットは,受動歩行と同様に,生物が有するリアルタイム環境適応能力(移動知)を有しているものと予想するとともに,その根拠は,内在するフィードバック構造を有するダイナミクスモデルにあると考えている.これまでの研究成果を整理し,平成30年8月6日から8日に韓国大田市テジョンコンベンションセンターにて開催されたThe 14th International Conference on Motion and Vibration Control (MoViC2018)にて論文発表を行った(論文タイトル``A study of Ground Adaptability for Active Adaptive Crawler Robot'').関連分野の研究者と意見交換をするとともに,関連発表を聴講し,最新動向の調査を行った.
これらの研究活動を通じて,平成30年度は,クローラロボットの対地適応性に影響を与える因子を明確にするとともに,それらが3つのモーメントに帰着され,走行路面の障害とのインタラクションを解明することで,スムーズな障害走破の要点を説明することができるとの結論に至った.さらに,サブクローラを有するクローラロボットの機構を簡略し弾性梁としてモデル化することにより,ロボットと障害とのインタラクションを説明できることを見出した.我々の主張を実験的に検証するために小型模型ロボットの製作を行った.本研究課題の主題について説明するための根幹部分を確立することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の要となるサブクローラを有する移動ロボットの不整地走破時における力学的な動作原理を詳細に考察するとともに,適応クローラロボットの対地適応性に関する評価指標を定義し,定量的に評価する手法を提案した.また,対象とするロボットの機構を弾性梁として考えることにより,障害とロボットとの間に生じるインタラクション(相互作用)を説明することができた. 一方で,仮説を検証するためには,小型模型ロボットの製作を終え,ロボットと走行路面間の接触圧変化を測定することができた.また,サブクローラ部回転軸に関するコンプライアンス制御系設計手法を確立するとともに,実際に小型模型ロボットに対して制御系設計及び実装を行い,検証実験を行なった.制御対象の状態空間モデルパラメータの同定に時間がかかったが,その手順を確立し,希望するコンプライアンス(固有振動数)を規範モデルとして設定し,フィードバックゲインを設計した.得られた制御系に対して基本的な制御特性を評価することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は,これまでに明らかにした仮説をよりわかりやすく説明する工夫や改善を検討するとともに,適応クローラロボットの対地適応性に関する評価指標をもとに定量的に評価するため検証実験を継続する.具体的な内容を以下に示す.
(1) 評価試験法の確率:データ解析項目に対してNIST/ASTM標準化試験法に基づき,新たな試験方法およびフィールド設計を行う.我々の主張の優位性を説明するためには,ロボットの重量や寸法,形態に左右されない客観的かつ定量的な評価手法の確立が必須である.
(2) 最適コンプライアンスを考慮した不整地走破制御系設計:従来の制御工学的なアプローチでは,未知の環境空間における制御則を導出するのは困難である.我々は,環境変化にロバストな制御方法として,比較的単純な制御方法であるコンプライアンス制御系が適していると考えている.そこで,製作した評価検証用小型模型ロボットを使い,コンプライアンスの最適化を考慮した制御系実装を試み,不整地走破制御系の最適性を実験により検証する.また,一般性を確認するために研究分担者である大坪および衣笠らが開発している能動適応クローラロボットに対して,提案する制御系設計手法の適用を試みる.
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Causes of Carryover |
本年度,次年度使用額が生じた理由は,当初予定していた検証用小型模型ロボットへの制御系実装が遅れたため,標準試験法にもとづくフィールド実験走行会の開催が間に合わず,フィールド実験走行会を次年度に行うことになったためである.
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Research Products
(6 results)