2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K06282
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
村上 剛司 九州産業大学, 理工学部, 教授 (80380682)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ロボティクス / ロボットハンド |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では,ロボットハンドの作業能力向上を目指し,指先と物体が接触した状態から指先を微小振動させることにより接触物体との摩擦係数を動的に変更可能なロボット指先を開発する. 令和元年度までに,振動子を平行2指ロボットハンドの指部に組み込み,指先で振動を発生させることにより,把持物体の表面ですべりを発生させうることを確認した.しかし一方,指先の振動により低減できる摩擦係数の大きさが小さいことも分かった.そこで,令和2年度は使用する振動子の再検討を行い,新たに直動型の圧電アクチュエータを採用した.これは,他に使用を検討した圧電スピーカなどよりも振動する際の力が大きいため摩擦の調整によるすべり操作を実現しやすいと判断したためである.使用する圧電アクチュエータの耐過荷重と電圧を実験により調査し,その結果に基づいて各指2個の圧電アクチュエータを配置したロボット指先を3Dプリンタで製作した.このロボット指先2本を対向させて配置することで平行2指ロボットハンドを構成した.このロボットハンドによる挟み込み把持を実行中に指先の圧電アクチュエータが振動を加えることで把持物体のすべり操作を行う実験を行った.1辺が40mmで重量が79gのアクリル製の立方体を把持対象として実験を行い,把持を保ったままですべり操作を実現できることを確認した.一方,把持対象物体の素材をプラスチックなどに変えて実験を行ったところ,素材によってすべり操作に失敗するなど摩擦の調節に影響があることも分かった. 最終年度となる次年度では,把持対象の素材の影響を明らかにすると共に,その影響を低減するためのロボット指先の表面素材について調査する.これらの結果を取りまとめて,接触物体との摩擦係数を動的に変更可能なロボット指先を実現することを目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,ロボットハンドによる把持物体のすべり操作実験を通して,提案手法に基づき,指先の振動により摩擦計数を低減できうることを確認している.次年度は,より実用的なロボットハンドを開発するため,把持対象の素材の影響を確認すると共に,その影響を低減するためのロボット指先の改善をすすめる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,ロボットハンドによる把持物体のすべり操作実験を通して,提案手法に基づき,指先の振動により摩擦計数を低減できうることを確認している.次年度は,把持対象の素材の影響を低減できるようロボット指先を改善し,摩擦係数を動的に変更可能なロボット指先を開発する.
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Causes of Carryover |
コロナの影響に伴う出張の中止や学会発表の延期などにより繰越として次年度使用額が生じた.翌年度分として,出張や学会発表および実験用の物品費などによる執行を行う.
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