2018 Fiscal Year Research-status Report
新規損失材料探査のための透磁率・誘電率測定法の液体/半固体/磁性配向材料への拡張
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17K06290
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三浦 健司 岩手大学, 理工学部, 准教授 (90361196)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | FDTD法 / 磁性複合材料 / 磁場配向 |
Outline of Annual Research Achievements |
二年度目においては磁性材料評価の一例としてMn-Znソフトフェライト磁性粉の評価を行った.試作した樹脂容器に磁性粉をタッピングして充填し,充填率50%前後の磁性粉体そのものの比透磁率を測定することに成功した.また,材料定数算出アルゴリズムを樹脂容器内の磁性複合材料の測定に適用した.複合材料作製には磁性体の体積割合が複合材料透磁率に与える影響が顕著であることから,本予算で購入した脱泡・撹拌装置を用いた.また,無配向の標準サンプルの他に,環状試験体円周方向への磁場配向を施したサンプルも作製し評価した.その結果,2GHz以下において磁場配向されたサンプルが標準サンプルに対し高い比透磁率を示すことが明らかとなり,本測定法における目的の1つを達成した. 材料定数算出アルゴリズムに関して,FDTD法を用いた電磁波シミュレーションを実行し,その結果からも本推定手法の精度検証を行った。同軸管内に被測定材料充填済み環状型容器を配置し,同軸管端部に高周波電圧を印加することで電磁波を伝播させ,そのシミュレーション結果から同軸管両端位置でのSパラメータを求めた。今回,4種類の被測定材料(空気,容器と同じ誘電率を有する樹脂,磁性材料,水)を充填したと仮定し,得られたSパラメータに前年度検討したアルゴリズムを適用した.その結果, 誘電率・透磁率が比較的小さい材料(空気,容器と同じ誘電率を有する樹脂,磁性材料)においては誘電率・透磁率推定結果が計算条件として与えた誘電率・透磁率と誤差が小さかったものの,比誘電率が80と比較的高い水については推定結果が一致しなかった.これについては,TEMモードを前提とした推定アルゴリズムであることが原因として考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度構築した推定アルゴリズムを磁性材料に適用したところ,過去の測定例と概ね一致する結果を得た.また,当初予定していた磁場配向実験においても,標準サンプルに対して比透磁率で明確な差が見られたことから,少量サンプルの磁場配向試験方法として本手法の有効性を示すことができたと考えている.加えて,当初予定していたFDTD法による電磁波解析からの精度検証も実施することができた.ただし,水に代表される比較的誘電率が高い材料についてはまだ測定誤差が大きいため,この点については引き続き検証を進めていく.全体として概ね順調に進展しているものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の実験計画の大きな変更はないが,昨年度の結果を受けて,高誘電材料の測定誤差低減を目的とした高次モードでの伝搬を加味した推定アルゴリズムへの改良に着手する.最終年度においては液体(水),半固体物質(寒天)の測定に加え,ショ糖水溶液,クエン酸水の評価も行う予定である.この知見を次期研究として考えている農作物評価へと展開させる予定である.
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Causes of Carryover |
平成30年度は予定していた物品費などを計上し,残額は少額である.平成31年度も計画通り研究を実施していく.
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Research Products
(2 results)