2017 Fiscal Year Research-status Report
Compact-type superheated steam generator using arc and corona discharge
Project/Area Number |
17K06291
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
杉本 俊之 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10282237)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 過熱水蒸気 / アーク加熱 / コンパクト / コロナ放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
円筒状の電極容器の内部に液体の状態の水を供給し、電極内部で飽和水蒸気を生成し、さらにこれを加熱して過熱水蒸気を噴出する、コンパクト型過熱水蒸気発生装置を試作した。これは、熱源としてエネルギー密度の高いアーク放電を利用するものである。円筒状の容器電極の蒸気出口付近に電極の外部から側面に向かうアーク放電を終端させ、出口部分を400℃程度の高温に加熱しつつ、これと反対側の電極の端部から液体の状態の水を円筒電極内に供給する。円筒電極の出口部分から入り口部分に向かう熱の伝熱により、入口付近に供給され水は飽和水蒸気(100℃程度)に変わる。入口付近で生成された飽和水蒸気は、出口に向かう間に加熱されて過熱水蒸気となって噴出するしくみになっている。 試作した電極系を用いて、アーク加熱の条件や水の供給流量等の実験パラメータを変化させたときの電極各部の温度分布を調べるとともに、生成された過熱水蒸気の温度を測定した。水の供給水量を適切に調整し、加熱の効率を低減させる現象(ライデンフロスト現象)を起こさずに加熱できるようにする方法を確立した。また、電極出口部分の構造にいくつかの改良を行いながら、最終的には、260℃程度の過熱水蒸気を横向きに噴出することに成功した。さらに過熱水蒸気の温度を上げるためには、円筒電極内部での熱交換を高効率化する必要があることが判明した。今後は、コロナ放電を用いて高効率化を図る必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
円筒電極の直径は4㎝、長さ10㎝とした。最初に試作した1号機は、円筒電極内部の出口付近に外径2㎜、内径1㎜長さ30㎜のパイプを多数挿入し、蒸気とパイプとの接触面積を増やして蒸気を加熱する方法を採用した。アーク加熱点から蒸気生成点までの伝熱量と水の供給量とのバランスをとらないと、水への伝熱が多すぎてライデンフロスト現象が起こり、伝熱効率が低下することが分かった。伝熱量の制御には、円筒電極の肉厚を調整することも重要であることが判明した。また、70A程度のアーク電流による加熱では、水の供給量を150~200μgに設定するとバランスが取れることが判明した。 出口を上向きにしたときの蒸気温度を測定したところ、160℃程度の過熱水蒸気が生成できることを確認した。産業応用を考えると蒸気は横向き、あるいは下向きに噴出できることが望ましいので、電極を下向けにしてさせることを試みたところ、円筒内部で気化しきれなかった水がパイプにたまり、内部の圧力を挙げてパイプが破損する現象が起こった。これを回避するため、円筒の出口にねじ込んで固定できるアタッチメントを試作したところ、下向きの蒸気生成は依然として難しいものの、横向きに260℃程度の過熱水蒸気が生成できるようになった。円筒内部での熱交換を効率化させ、さらに高温を目指す必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
円筒電極内で飽和水蒸気から過熱水蒸気に変換する部分の熱伝達を高効率化する必要がある。このため、円筒電極の内部にコロナ放電電極を挿入し、コロナ帯電により蒸気を帯電させて円筒電極に接触させる方法について検討を行う。
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Causes of Carryover |
国際会議に出張の予定であったが、都合によりキャンセルしたので、余剰分が出た。次年度に発表を予定している。
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