2017 Fiscal Year Research-status Report
超短パルス高電界がん治療法のための磁気スイッチによる高電圧パルス列形成と細胞効果
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17K06292
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
南谷 靖史 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10323172)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん治療 / がん細胞 / 酵母 / バーストパルス / 細胞死 / アポトーシス / ネクローシス |
Outline of Annual Research Achievements |
バーストパルス発生装置として,出力波形が単極性ではあるがバーストパルス列が150MHzで5振動(出力15kV),バーストパルス列が26MHzで5振動(出力6kV),バーストパルス列が13MHzで5振動(出力4kV)を出力する装置を製作した。 そしてその装置を用い,単パルスと比較したバーストパルスの優位性の調査を,HeLa細胞にバーストパルス列を印加し行った。印加条件として,150MHzの装置では出力電界強度80kV/cm,13MHzの装置では出力電界強度20kV/cm,パルス繰り返し数が1パルスにおいては5pps,5パルスにおいては1ppsと設定することにより13MHz,13 MHz両者における1パルスと5パルスの細胞へ加わる電力,エネルギーは等しくなるようにした。 印加実験の結果,WST-8アッセイにより,パルスを細胞に印加し生存率50 %となる印加条件が,150MHzの1パルスにおいて250shots,5パルスにおいて15shotsとなり,13MHzの1パルスにおいて150shots,5パルスにおいて20shotsとなり,バーストパルス列印加でHeLa細胞に影響を与えられる条件として単パルスと比較したバーストパルスの優位性を確認できた。 また,アポトーシスで細胞死が起きていることを確認するために,印加後0時間の細胞死の状況をPI染色による細胞膜のダメージで見た結果,13MHzのバーストパルスでは,1パルスにおいて250shots以下,5パルスにおいて200shots以下,150MHzのバーストパルスでは,1パルスにおいて1000shots以下,5パルスにおいて200shots以下のパルスショット数ではPIによる染色が見られなかった。したがって印加後0時間では細胞膜の膜破壊による細胞死は確認されず,150 MHz,13MHz共アポトーシスによる細胞死である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度の目標として,100MHzの周波数で15kV出力できる装置を開発すること,その装置を用い酵母細胞,がん細胞であるHeLa細胞に対する影響を見ることであった。 装置は,出力波形が単極性ではあるがバーストパルス列が150MHzで5振動(出力15kV),バーストパルス列が26MHzで5振動(出力6kV),バーストパルス列が13MHzで5振動(出力4kV)を出力する装置を製作しており目標に到達している。 アポトーシス誘導実験においては,酵母細胞とがん細胞のHeLa細胞で行い,酵母細胞では150MHzの装置では出力電界強度80kV/cm,500ショットの条件で40%の細胞にアポトーシスを起こせることを,13MHzの周波数でも出力電界強度20kV/cm,500ショットの条件で30%の細胞にアポトーシスを起こせることを明らかにできた。 HeLa細胞の実験では,同じ条件の150MHzの装置では出力電界強度80kV/cm,30ショットの条件で90%近い細胞にアポトーシスを,200ショット加えると100%の細胞にアポトーシスを,13MHzの周波数でも出力電界強度20kV/cm,30ショットの条件で80%以上の細胞にアポトーシスを起こせることを明らかにできた。ただし,13MHzでは200ショット加えてしまうと細胞死は100%起こるが,20%程度のネクローシスも起こることを明らかにした。 13MHzでは20kV/cmでもアポトーシスが起こっており,低い電界強度でもバーストパルスの振動回数とショット数増でアポトーシスを誘導することが可能であることが示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,まずは予定の周波数の上昇に先立ち,バーストパルスの振動として両極性のパルスが出力できるように装置を開発し,実験を行う。その後出力周波数を250MHzに上げて実験を行う。 供試細胞にはヒト細胞を模した酵母と,がん細胞であるHeLa細胞を用い,パルス印加パラメータの違いによるアポトーシスの誘導しやすさを検証する。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度はHeLa細胞の培養設備がまだないため,印加実験を共同研究先へ出向いてそこの所有する細胞で行っていた。そのため,旅費が過大にかかった。次年度はHeLa細胞を所有して実験することを考える。そのため,HeLa細胞購入費として次年度に繰り越す。 (使用計画) HeLa-S3細胞の購入費として使用する。そのためには炭酸ガス培養ができるように,培養器,クリーンベンチの購入計画を組む。
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Research Products
(12 results)