2018 Fiscal Year Research-status Report
放電経路の空間的分断による極小空間内でのアーク放電の強制消弧
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17K06297
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
関川 純哉 静岡大学, 工学部, 教授 (80332691)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アーク放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では通電中の電気接点を引き離す際に発生するアーク放電を、隔壁によって空間的に分断することで強制的に消弧させる手法を提案している。この実験の実施のために新たな実験装置を製作・改良してきた。今年度は隔壁によるアーク放電の分断実験の実施を目標として研究を遂行した。前年度までにこの実験装置を用いたアーク放電の発生と分断によるその消弧までを計画していたが、接点開離装置の制作とアーク放電の発生までにとどまり、初期の分断機構の構造の問題によりその制御が困難であったため実験装置の完成が遅れ、アーク放電の分断実験までには至らなかった。 前年度製作した実験装置では、分断用の隔壁を駆動する機構を回転軸を持つ構造で作製していたが、隔壁の移動経路のばらつきが大きいため動作が安定しなかった。また、接点開離装置とのタイミング調整も困難であった。そこで今年度は、隔壁の駆動機構を根本的に見直し、隔壁が直線状に垂直に移動する構造に変更した。隔壁の底面を接点対の中心軸に対して直角な位置関係を維持したまま、接点間隙に隔壁を挿入できるようになった。これにより移動経路が安定し、接点開離装置とのmsオーダーでのタイミング調整が可能になった。 改良した実験装置により実験した結果、隔壁の挿入によるアーク放電の分断実験に成功した。アーク放電が垂直方向に弧を描いて伸びていくタイミングに合わせて隔壁を垂直に降下させ、アーク放電を上から押しつぶすように変形させ分断することができた。分断により、アーク電圧が急激に高くなり、分断しない場合よりも短い時間でアーク放電が消弧できることを確認した。この装置による実験と並行して、現有する他の実験装置による放電実験により、アーク長さの解析手法についての研究と高電圧(500VDC/10A)回路中での開離時アークの消弧特性に関する実験を先行して実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、接点開離装置と、隔壁によるアーク放電の分断機構とを制作した。目標としていたアーク放電の分断実験には成功したが、現段階ではまだ特定の実験条件での実験しかできていない。この理由は、当該年度中に分断機構の構造を根本的に変更して製作し直したためである。新たな分断機構の試作・調整の過程に当初の予定よりも時間がかかったため装置全体の完成が遅れ、予定していた広い実験条件での実験には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
完成した実験装置を用いて、幅広い実験条件でアーク放電の発生とその分断実験を遂行する。回路条件としては、電源電圧は最大600V、遮断する回路電流は10Aを想定している。開離時アークの発生状況を合わせて、その分断時の隔壁の位置・降下タイミングを調整する。隔壁の材料を金属又は絶縁物とする。実験条件を変えながら、できる限り小さい空間でアーク放電を消弧させる条件を見出すことを目標とする。 高速度カメラを用いてアーク放電の様子を撮影し、その形状の変化を解析し、同時測定するアーク電圧・電流とあわせて、各条件の違いによる消弧過程を解析する。また、永久磁石を用いた磁気吹き消しを併用することで、より効果的な消弧作用が得られると想定している。
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Research Products
(9 results)