2018 Fiscal Year Research-status Report
電気機器鉄芯材料の応力依存ベクトル磁気特性の物理的/現象論的モデル化手法の開発
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17K06300
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 哲司 京都大学, 工学研究科, 教授 (20238976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 耕二 同志社大学, 理工学部, 教授 (20190093)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電気機器工学 / 電子・電気材料 / シミュレーション工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 応力依存磁気特性の計測 応力の影響を受けやすいと考えられる0.2mm厚の無方向性電磁鋼板の応力依存磁気特性の計測を行った。また,2方向の応力の印加方法について基礎的な検討を行った。 (2) 集合磁区モデルの改良 集合磁区モデルの計算高速化のため,静磁界計算を簡略化する2つの手法を開発した。すべての多磁区粒子の磁化を平均して減磁界を算出する平均磁化モデルと,多磁区粒子が磁気的に独立であると近似して減磁界を算出する独立近似モデルである。両者とも鋼板の形状から決定される減磁界係数を用いることにより静磁界計算を高速化できる。後者では,磁気的相互作用を陽に考慮したモデルと比較して,応力依存性の予測精度を損なうことなく計算時間を1/5程度に短縮することに成功した。これは,多数の多磁区粒子のエネルギー極小化を同時に行う必要がないことが効果的であることによる。これに対して,前者の手法では,高速化の効果が限定され,応力依存性の予測精度も高くない結果となった。 (3) 応力依存ベクトルヒステリシスモデルの開発 (2)の成果を利用すると,ベクトルストップモデルの同定法を利用してピンニング磁界を算出して集合磁区モデルに組み込むことが可能になる。すなわち,応力が存在しないときの磁気特性から得られるストップヒステロンの2次元/3次元分布からピンニング磁界の分布を推定することにより,圧縮応力印加時のヒステリシス損の増加を予測することを可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き,圧電フィルムの入荷遅れによるものの他,新しく考案した集合磁区モデルの高速化手法の開発に注力したため,磁気計測の観点からは計画に対して遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 二方向応力下でのベクトル磁気特性の計測と等価応力モデルの開発 前年度に引き続き,二方向に圧縮/引張り応力を印加可能な計測システムを構築する。その測定結果を用いて,二方向応力印加に対応した等価応力モデルを開発する。一方向応力に対する等価応力モデルの理論をベースとし,二方向応力印加時の結果により検証する。 (2) 磁界解析に適した応力依存ベクトルヒステリシスモデルの開発 前年度に得られた一方向応力印加時のベクトル磁気特性の計測結果および計算結果から,磁界解析に適したベクトルヒステリシスモデル(現象論的モデル)を開発する。ベースとなるヒステリシスモデルとしてプレイ/ストップモデルを用い,等価応力モデルを組み込んだ簡潔な応力依存モデルの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
支出を予定していた国際会議に学内業務の関係で参加できなかった。また,実験用器具の納入遅れなのでにより計測の計画実施が少し遅れている。今年度に支出予定である。
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Research Products
(3 results)