2018 Fiscal Year Research-status Report
Reduction Technique for Thermal Concentration on Specific Switching Devices in Power Converter by Using Zero-sequence Voltage
| Project/Area Number |
17K06328
|
|---|
| Research Institution | Tokyo National College of Technology |
|---|
Principal Investigator |
綾野 秀樹 東京工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50614525)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 素子温度 / 零相電圧 / 3レベルインバータ / 永久磁石モータ / 零速度 / 発熱集中 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
省エネルギー化，小型軽量化の観点から，産業製品や家電製品においては，インバータ等の電力変換器と永久磁石モータを組み合わせたシステムが適用されている。しかし，永久磁石モータにおいて零速度・高トルク運転の条件では，電力変換器は直流の大電流をモータに供給する必要があり，電力変換器の構成する半導体素子(スイッチング素子)では特定の素子に発熱が集中する。零速度・高トルク運転は，例えば，電気自動車や鉄道の坂道発進時，エレベータの始動・停止時，サーボプレス機のプレス時などで発生する。この課題に対して，3レベルインバータを使用し，零相電圧を積極的に利用して電流経路を変化させることにより，素子発熱集中を緩和する方式を提案した。この提案法に対して，評価用に試作したミニモデル装置を用いてその効果を検証する。提案方式により，従来方式と比較して最大損失を低減でき，各素子で発生する損失量は均一化し，局部的な最大値を低減可能なことから素子の長寿命化や冷却装置を小型化に寄与できる。特に提案法では，制御演算処理のみで電力変換器の小型化・軽量化・低コスト化がもたらされる点が特徴である。
30年度は，温度評価に関して，製作したディスクリート型の素子を使用したミニモデルインバータ装置を使用し評価を実施した。この結果，29年度に実施したシミュレーションと同様な傾向となることを確認し，最大素子温度を低減できることを示した。この成果について電気学会研究会で発表した。さらに，モータの磁極位置条件を変化させた幅広い条件での提案法による効果の検証をも実施中でである。また，本研究のポイントである零相電圧の有効利用について，素子温度の低減以外にもモータの電磁音低減などにも展開できており，成果を電気学会研究会で発表した。さらに，本研究の基礎検討段階で得られた高周波数で使用可能なリアクトルに関して，学会で発表した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
温度評価に関して，製作したディスクリート型の素子を使用したミニモデルインバータ装置を使用し評価を実施した。この結果，最大素子温度を約14％低減(上昇温度で比較すると31.1％)低減できる見込みを得た。この結果は，平成30年9月に開催された電気学会研究会で報告した。さらに，モータの磁極位置条件を変化させた場合の提案法による効果の検証も実施中であり，この成果も発表していく予定である。また，本研究のポイントである零相電圧の有効利用について，素子温度の低減以外にもモータの電磁音低減などにも展開できており，成果を電気学会研究会で発表した。また，電力変換装置の高機能化の展開として，電力変換装置を高周波数で使用する場合に適したリアクトルについても検討を進めている。上記の通り，本研究は順調に進展していると考える。
|
| Strategy for Future Research Activity |
31年度は、提案方式のさらなる有効性について，実機試験を通じて評価する。さらに，研究過程によって発見された事象やこれまでに得られた研究成果をまとめ，学会等で発表していく予定である。研究計画の遂行体制としては，1名の卒業研究生を研究協力者として充てる(研究代表者が卒業研究生の指導を実施する)。さらに，研究協力者として，福岡工業大学の松井義弘先生にアドバイスを頂きながら推進する予定である。
|
| Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由は，年度末の学会発表に関わる旅費が想定よりも割安にすんだことで発生したものである。今年度も学会に参加し発表や関連研究の情報を収集す予定であり，このための参加費用として充てる予定である。
|
