2020 Fiscal Year Research-status Report
小型パルスパワー装置による大電力・短パルス広帯域マイクロ波の発生とその安定化
Project/Area Number |
17K06330
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
橋本 好幸 神戸市立工業高等専門学校, 電子工学科, 教授 (20270308)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 広帯域マイクロ波 / パルスパワー / 電磁波 / マルクス回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、充電電圧が大きいとコンデンサが絶縁破壊を起こす可能性が高くなるので、充電電圧を定格値の50%以下に落として、同軸パルスパワー装置が安定動作するように調整を行うことであった。充電電圧を落とすことで、コンデンサーの破損等の発生は抑えられ、同軸パルスパワー装置自体の安定動作は可能になった。しかし、同軸パルスパワー装置の出力には多少のばらつきがあるため、信頼性のあるデータ取得までには至っていない。今後、パルスパワー装置のトリガ回路を改修して繰り返し動作を実現し、データ取得量が増えれば、改善できると考えている。また、抵抗分圧器とロゴスキーコイルを作成し同軸パルスパワー電源に装着し、正確な動作波形の取得を行うことも本年の計画であったが、新型コロナ感染症の影響で実施できていない。更に、本年、新設する予定であった放電部のスイッチ回路についても、同影響のため製作することができなかった。 パルスパワー装置による広帯域マイクロ波の発生が行えていないことから、昨年より実施しているパルスマグネトロンによって発生したマイクロ波を種子に照射して、種子の発芽特性の影響を調べる先行実験については、本年も継続して実施した。昨年は、マイクロ波(9.4GHz,20kW,1μs,1kHz)を照射した小松菜種子の低温(8℃)での発芽率が未照射種子の約1.8倍となる結果が得られた。しかし、本年は、小松菜種子の種類を変更したことが影響したのか照射した種子も未照射の種子も発芽特性にほぼ変化がない結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、前半期の研究活動がほぼ停止したことから、予定していた実験備品の設計・作製を行うことができなかった。そのため、研究を予定通り進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
抵抗分圧器とロゴスキーコイル作製し同軸パルスパワーの出力を正確に測定できるようにする。また、パルスパワー装置の出力パルスを、更に短パルス化するために、出力部にスイッチ回路を設計製作して接続する。その後、パルスパワー装置の放電により、マイクロ波が発生するかを、導波管内に取り付けた検波ダイードにより測定して確認する。また、取得データを安定化させるために、パルスパワー装置のトリガー部を繰り返し運転ができるように改修する。更に、マイクロ波の発振が確認できた場合は、充電電圧や放電ギャップ長、スイッチの有無などの実験条件を変更して最大電力が発生できる最適条件を探る。また、ホーンアンテナ近傍での電界強度をD-dotプローブで測定し、マイクロ波出力と比較および検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
マルクス回路の出力部に、新たにスイッチ回路を設計、外部業者に作製を依頼する予定にしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で前半期の研究活動がほぼ停止したため、スイッチ回路の設計まで至らなかったため、外部業者に作製を依頼できなかった。 また、出力部の高電圧測定回路を作製する予定にしていたが、それも製作できなかったことから、製作に必要な部品を購入しなかった。更に、研究成果を学会等で発表する予定であったが、コロナ禍のため発表できなかった。それらの理由から、予算に差が生じた。
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