2018 Fiscal Year Research-status Report
分子ドーピングを用いたナノ人工ピン制御による磁束捕捉特性解明と高機能超伝導膜実現
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17K06346
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
喜多 隆介 静岡大学, 工学部, 教授 (90303528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高温超伝導薄膜 / 人工ピニングセンター / 臨界電流密度 / 有機金属塗布法 / 磁束ピニング / 分子ドーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、有機金属を分子ドーピングした非晶質薄膜を独自のプロセスを用いて、サイズ・密度を制御したナノ人工ピンを超伝導薄膜中に形成する独創的手法を開発することにより、従来に無い極めて高い臨界電流輸送能力を有する超伝導薄膜材料を実現するとともに、薄膜形成過程、及び酸化物高温超伝導薄膜におけるナノ人工ピンと磁束量子との相互作用について解明することを目的としている。今年度は、前年度で明らかとなった分子ドーピングに適した有機金属元素を基に、種々のプロセス条件で超伝導薄膜を作製し、超伝導電流輸送特性との関係を明確にするための研究を遂行した。その結果、テトラキスZr分子の添加により、薄膜の結晶成長が促進され、さらに表面性も向上することが明らかとなった。これにより、臨界電流密度が大きく向上することがわかった。また、テトラキスZr を用いてZrをドーピングすることにより磁場中の臨界電流密度特性(アルファ値)が向上することがわかった。さらに、超伝導層の結晶化プロセスを2段とすること、及び結晶化プロセス終了後の冷却過程を制御するプロセスを導入することで、超伝導特性が向上することを明らかにした。また、超伝導薄膜における量子磁束捕捉特性の解明を目的として、HfとLaを共ドーピングしたGdBCO超伝導薄膜のピニング力と実効ピニング密度について解析を行った。その結果、Hfドーピングは高磁場側でのピニング力を増加させ、Laドーピングは低磁場側でのピニング力を増加させることが明らかとなった。これらの結果、HfとLaの共ドーピングにより低磁場から高磁場までのピニング特性の向上に効果があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度目標としていた人工ピン分子ドーピングに適した有機金属分子をを基に、種々のプロセス条件で超伝導薄膜を作製し、得られた超伝導薄膜の超伝導電流輸送特性との関係を明確にすることを達成した。また、希土類混晶化超伝導薄膜において(Gd,Ho)や(Gd,Eu)の組み合わせによる臨界電流密度特性への効果を明らかにできた。さらに、人工ピン形成を制御し超伝導特性を向上させるために従来にない新規薄膜作製プロセスを検討した。として超伝導薄膜の結晶化プロセスを明らかにできた。また、ナノ人工ピンをドーピングした超伝導薄膜における量子磁束捕捉特性の解明について検討を進めルことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、最適な分子ドーピング量を明確にするために、新規開発した薄膜形成プロセスにおけるテトラキスZr添加量の最適化を検討する。さらに、希土類混晶化超伝導薄膜におけるZr分子ドーピング超伝導薄膜の高磁場中や低温での超伝導特性の解析を行うことにより、磁気相関図に関する知見を得る。
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Research Products
(6 results)