2018 Fiscal Year Research-status Report
窒素デルタドープによるGaAs基板上InAs量子ドット発光の1.5μm帯長波長化
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17K06352
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
海津 利行 神戸大学, 研究基盤センター, 助教 (00425571)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | InAs量子ドット / 窒素ドープ / GaAsキャップ温度 / 発光強度 / 発光波長 |
Outline of Annual Research Achievements |
GaAs上InAs量子ドットにおいて、GaAs表面への窒素ドープによる発光波長の長波長化が報告されているが、その一方で発光強度の低下が問題点として挙げられている。本研究では、窒素ドープGaAs上InAs量子ドットの発光強度の向上ならびに1.5μm帯発光の実現に向けた発光波長のさらなる長波長化を目指し、GaAs表面への窒素ドープ量(ドープ時間)およびGaAsキャップ層成長温度によるInAs量子ドットの発光特性への影響を調べた。その結果、窒素ドープ時間を前年度用いた条件(200秒)の2分の1にし、さらにGaAsキャップ成長温度を低下する(480℃→430℃)ことによって、先行研究で作製した窒素ドープGaAs上InAs量子ドットに対して、約3倍の室温での発光強度の向上と約10nmの発光波長の長波長化(1.3μm)を達成した。これは、窒素ドープ量の低下によって窒素濃度の局所的な揺らぎによる無輻射再結合中心の生成が抑制され、高いIn組成を持つ窒素ドープ上量子ドットを低いキャップ温度で埋め込むことによって、キャップ層埋め込み成長過程で生じるIn原子とGa原子の相互拡散による量子ドットのサイズ縮小が抑制されたことによる。本年度の研究によって、高いIn組成を持つ窒素ドープ上量子ドットのas-grownにおけるサイズ増大と、キャップ層埋め込み成長過程におけるサイズ縮小の抑制を組み合わせることによって、1.3μm帯を超える発光波長のさらなる長波長化の可能性が示された。本成果については、国際会議のオーラル発表および国内学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
窒素ドープGaAs上InAs量子ドットの1.5μm帯発光には達していないが、本研究課題の目的の1つである発光強度の向上を達成することができた。また、先行研究に対する発光波長の長波長化を示し、高いIn組成を持つ窒素ドープGaAs上InAs量子ドットのas-grownにおけるサイズ増大と、GaAsキャップ層埋め込み成長過程におけるサイズ縮小の抑制を組み合わせた発光波長のさらなる長波長化について知見を得ることができた。本年度までの研究成果について、国際会議のオーラル発表および国内学会発表を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた窒素ドープGaAs上InAs量子ドットの発光波長のさらなる長波長化についての知見をもとに、高いIn組成を持つ窒素ドープ上量子ドットのas-grownにおけるサイズ増大のための量子ドット成長条件(成長速度、成長温度)の検討に加えて、GaAsキャップ層埋め込み成長過程におけるサイズ縮小の抑制のための手法として、先行研究で報告されているInGaAs歪緩和層の導入を検討する。
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Causes of Carryover |
国際会議で発表した研究成果について論文投稿を予定していたが、年度内の投稿が間に合わず、その英文校閲費用が次年度繰り越しとなった。その論文投稿を本年度行う際の英文校閲費用として使用する。
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