2017 Fiscal Year Research-status Report
ZnMgTe混晶半導体エピタキシャル膜の電気伝導性制御に向けた電子・原子構造解析
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17K06354
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
齊藤 勝彦 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 助教 (40380795)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 化合物半導体 / ドーピング / MOVPE / 結晶成長 / 放射光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、p型の単極性を示すZn1-xMgxTe混晶半導体の電気伝導性制御を困難としてきた阻害要因を、電子構造および原子レベルでの局所構造と電気的・光学的特性等との関係から明らかにすることを目的としている。得られる知見をもとに、不純物ドーピングによる本材料の幅広い組成範囲に渡るp型伝導性制御およびn型化を、有機金属気相成長(MOVPE)法で成長したエピタキシャル膜において実現することを目指す。平成29年度は、これまでに報告例のない(100)GaAs基板上へのPドープZnTe薄膜成長をMOVPE法を用い種々の成長条件下で実施・評価し、成長特性の把握を行った。得られた薄膜に対する成長後の窒素雰囲気中でのアニーリング処理により、ホール密度が大幅に増大することを明らかにした。アニーリング処理後のホール密度は、Pの原料として用いるトリスジメチルアミノ燐の供給量におおよそ比例しており、本研究で用いるMOVPE装置により10^19cm^-3オーダーが容易に実現できることを確認した。なお、シンクロトロン放射光を光源とした電子構造解析および局所原子構造解析実験は、平成30年度の実施を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・装置や設備等のトラブルにより、実験時間の大幅な制約が生じた。 ・利用を前提としていた基板材料の入手が困難となり、他材料への変更が必要となった。 以上より、当初の研究計画で平成29年度に予定していたPドープp型ZnTeエピタキシャル膜のシンクロトロン放射光を光源とした電子構造解析および局所原子構造解析実験の実施が平成30年度にずれ込んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に得られた結果を活用し、PドープZnTe薄膜の更なるドーピングレベルの上昇を探求する。これら試料は特に、アニーリング処理がPの活性化に寄与するメカニズムを明らかにすることを目的とし、X線吸収微細構造測定によりP原子近傍の局所原子構造を調べるために用いる予定である。その後は、Zn1-xMgxTeエピタキシャル膜に対象を移し、当初の実験計画に従い、ホール密度の飽和要因の解明とp型伝導性制御法の確立、n型化阻害要因の解明とn型伝導の実現法の提案を目指す。
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Causes of Carryover |
装置や設備等のトラブルによるマシンタイムの制約により、特に成長実験の回数が大幅に縮小され、消耗品の必要量が減少した。加えて、当初の研究計画で利用を前提としていた基板材料の入手が困難となり、より単価の低い他材料への変更が必要となり、またこれに伴い成長特性等の把握に一定の時間を要した。これらにより、予定していた佐賀県立九州シンクロトロン光研究センターの利用を平成29本年度は見送ったことから、利用料が発生しなかった。 有機金属原料、各種ガス、基板材料、評価装置の不具合対応のための物品等を購入する。また、佐賀県立九州シンクロトロン光研究センターの利用料、研究成果発表のための国際会議参加費、旅費及び論文投稿料として使用する予定である。
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