2019 Fiscal Year Annual Research Report
Atomic-scale characterization of defects and dislocations using cross-sectional SPM: Application to GaN
Project/Area Number |
17K06366
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石田 暢之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 主任研究員 (10451444)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / プローブ顕微鏡 / 欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、窒化ガリウム(GaN)に存在する欠陥を原子スケールで評価する技術を開発し、構造や電子準位、欠陥周辺の電位分布を実験的に計測すること、また、これにより欠陥の特性を明らかにすることである。2018年度までに、走査型トンネル顕微鏡(STM)および原子間力顕微鏡(AFM)による原子分解能観察に成功し、構造や電子準位に関するデータを取得した。 2019年度は引き続きAFM計測を継続して行った。その結果、欠陥周辺にて探針-試料間距離を近づけてスキャンを行うと、欠陥内の第2層目に存在する原子が引き上げられる現象が観察された。これは欠陥内で比較的不安定な原子配列が形成されていることを示唆する結果である。また、AFM計測に加え、欠陥周辺の電位分布を評価するために、ケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)技術の習得を行った。まず、Si(111)表面にて測定を試みた。しかし、データの信号雑音比が小さく、明瞭な電位コントラストの変化は観察できなかった。そこで、多変量解析の手法を応用したノイズ除去法を応用したところ、大幅にノイズを低減することに成功し、これまでの報告と同様の原子スケールの電位変化が観察された。また、計測に時間を要するKPFM計測はドリフトによって像が歪んでしまう課題があったが、これを補償して測定を行うプログラムを作成し、これを解決した。これらにより、原子分解能KPFM計測を行うための技術を習得できたが、予想より時間がかかり、GaN表面へ応用する時間を取ることができなかった。 この3年間で、STM、AFM、KPFMの技術を駆使して、GaNの欠陥を評価するため技術を開発することができた。一方で、データの解析に十分な時間を割くことができなかった。今後は、STM、AFM、KPFMで得られた測定結果を総合的に考察し、欠陥の特性を明らかにすることを中心に研究を展開して行く。
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