2017 Fiscal Year Research-status Report
ピラー状IMC有効分散制御によるパワーデバイス用大面積接合
Project/Area Number |
17K06371
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荘司 郁夫 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00323329)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パワー半導体 / 鉛フリーはんだ / パワーサイクル / 亀裂進展 / 金属間化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存のSi半導体よりも高温での動作が可能なSiCやGaN等の次世代パワー半導体を利用した革新的パワーデバイスの開発による効率的なエネルギー利用が注目されている。本研究では、次世代パワー半導体の高温動作達成の鍵を握る耐熱サイクルおよび耐パワー(急加熱急冷)サイクルに優れた接合部の創製を目指す。応募者らのこれまでの研究にて亀裂進展抑制効果が見いだされたピラー状金属間化合物(IMC)分散接合を研究対象として、ピラー状IMCを効率的に生成する高融点接合材料を創製することを目的とする。さらに、接合材の溶融状態からの冷却過程におけるIMCの核生成・配向メカニズムを解明し、熱・パワーサイクル下での亀裂進展抑制に有効なピラー状IMCの配向分散制御方法、並びにクラック進展則に基づく接合部の寿命評価手法の確立を目指す。 初年度は、NiめっきCu板とCu板およびCu板同士をSn-Ag-Cu-In系鉛フリーはんだで接合して、ピラー状IMCの各生成・配向メカニズムとその制御法を探求することを目的とした。300℃10minの接合条件にて、300℃から凝固温度までの冷却速度を0.2~0.02℃/sの範囲で変化させ、接合部のミクロ組織および接合強度を評価した。冷却速度2℃/sで実施した先行研究の結果と比較したところ、Niめっきの有無によらず、冷却速度0.2℃/s以下では、界面にCu-Sn系のIMCがスカラップ状に生成し、ピラー状IMCは生成されないことがわかった。冷却速度が遅く過冷度が小さい場合には、溶融はんだ中へのピラー状IMCの生成は起こりにくく、冷却速度1℃/s程度において、ピラー状IMCが出現する過冷度限が存在することを明らかにした。また、せん断荷重については、Niめっきの有無、冷却速度によらず、ほぼ同等の値を示し、破壊は界面に生成した層状IMCとスカラップ状IMCの境界で生じることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
冷却速度の設定値として、計画では1~0.1℃/sを狙ったが、研究者の所有する赤外線イメージ炉を用いた実験では、最大0.2℃/sまでしか調整ができず、1℃/s付近のデータの取得ができなかった。そこで、研究協力者の所属機関で所有する還元雰囲気炉を借用して、最大5℃/s程度の冷却速度で実験できるよう条件設定し、研究を継続している。 また、次年度に予定していたパワーサイクル試験の実施に向け、測定ステージを改造することにより、これまで1試料ずつしか試験ができなかったものを、2個同時に実施できるように前倒しの計画にて実施した。 さらに、新たに開発したSn-Sb系鉛フリーはんだによるSiチップとCu板との接合部を対象として、パワーサイクル模擬試験並びに超音波顕微鏡による亀裂進展挙動の調査を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究より、ピラー状IMCの形成過程は、加熱保持過程における溶融はんだ中へのCuの溶解と冷却凝固過程におけるIMCの核生成からなり、冷却過程における過冷度が大きいときにははんだ中にピラー状IMCが生成しやすく、過冷度が小さいときには接合界面にスカラップ状のIMCが生成しやすくなることを明らかにした。 次年度は、冷却速度1℃/s以上の条件にて実験を行い、ピラー状IMCの生成に有効な冷却速度を明らかにしたうえで、ピラー状IMCの生成量および生成形態に及ぼす溶融はんだ中へのCuの溶解量の影響を明らかにして、接合条件の最適化を検討する。 さらに、ピラー状IMC分散接合体に対してパワーサイクル模擬試験を行い、超音波顕微鏡による亀裂進展観察、せん断試験による接合強度評価を実施する。 はんだ材についても、Sn-Sb-x系新合金の研究開発を継続して実施する。
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Research Products
(3 results)