2018 Fiscal Year Research-status Report
モスアイ構造を用いた大表面積化による高感度長距離伝搬表面プラズモンバイオセンサ
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17K06375
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
新保 一成 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80272855)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モスアイ構造 / 長距離伝搬表面プラズモン / センサ / 異常透過光 / テフロン / サイトップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、モスアイ構造をはじめとした、大表面積を持つナノ立体表面を作製することによって吸着量を増やし、長距離伝搬表面プラズモン共鳴(Long-range Surface Plasmon Resonance:LRSPR)バイオセンサを格段に高感度化するとともに実用性を高めることを目的としている。 平成29年度は、微小球を用いた大表面積化から実験を開始した。シリカ微小球で被覆した表面プラズモンセンサを作製し、電解質交互吸着(LbL)膜の堆積に伴う共鳴波長の変化を観測した。これにより、微小球で被覆して表面積を増やすことで、LbL膜堆積に伴う共鳴波長の変化量を増大できることを確認した。一方で、シリカ微小球を堆積すると共鳴が鈍くなる様子も観測され、シリカと外部媒体の水との屈折率差によると考えられた。 平成30年度は、前年度の結果を踏まえて、テフロン微小球の利用を検討した。テフロンは水とほぼ同じ屈折率を持つため、LRSPRの共鳴を妨げることがないと期待し用いたものである。実際にテフロン微小球を用いたところ、シリカに比べて明瞭な共鳴ピークを観測でき、有用であることを確認した。現在、微小球の堆積量依存性について調べている。LRSPRを用いているので金属表面からの電界のしみ出し距離が大きく、微小球堆積量を増やすことで表面積を大きくできるものと考えられる。また、大表面化のためにモスアイ構造を転写したセンサの構築も進めている。周期や高さの異なるモスアイ構造をセンサ上に形成し、センサ感度に与える効果について検討している。なお、LRSPRによるアゾ色素の光異性化も行い、通常のSPRよりも高い効果が得られることを確認した。この結果は、LRSPRが通常のSPRよりも強い電界を伴うことを裏付けるもので、蛍光分子励起を用いたバイオセンサへの利用も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた内容に沿って研究成果が得られてきており、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたっており、当初計画に基づき研究を進め成果をまとめる予定である。大表面積化に関しては、微小球の堆積量依存性のほか、異なる複数の球径の微小球を複合的に利用する。また、高さや周期の異なるモスアイ構造の利用を進め、微小球との組み合わせも検討する。この結果を踏まえて、LRSPRの共鳴波長シフトや、強い電界による蛍光増強を用いたバイオセンシングを行う。その他、LRSPRセンサの構造と電界しみだし距離の関係についてシミュレーションを行い、3次元的な構造をどこまで利用できるか理論的な見地からも明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
差額は4,710円と少なく、おおむね計画通り使用してきている。2019年度が最終年度に当たり、当初通りの使用計画としていく。
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