2018 Fiscal Year Research-status Report
印刷法を応用した有機金属分解法による新規プレーナー型固有ジョセフソン発振器の開発
Project/Area Number |
17K06377
|
Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
山田 靖幸 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 准教授 (60431467)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | BSCCO / 固有ジョセフソン接合 / 溶液法 / 印刷法 / テラヘルツ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
エッチング処理が不要なプレーナー型固有ジョセフソン発振素子の省プロセス作製法を開発する.プレーナー型素子を作製するためには基板に平行な電流路を形成できればよいため,非c軸配向膜は次のいずれかであればよいと考えられる.(A)c軸が傾斜し,かつc軸が双晶構造を形成していない膜.(B)c軸が基板に平行となるa軸配向膜等. 平成30年度までに,格子定数に着目してNdGaO3(100)基板を用いて薄膜作製を試みた結果,上記(B)のc軸が基板に対して平行なa軸配向の結晶粒成長が可能なこと,さらにNdGaO3(100)の傾斜基板を用いることによりa軸配向の結晶粒の全体に占める割合が増加することを確認した.これらは部分的にa軸配向しているだけであるが,原料溶液を何らかの印刷法で幅を狭く(数十μm程度)したブリッジ部分を有するパターンに塗布した後に熱処理を行う,という方法であればブリッジの部分がa軸配向になれば十分と考えられる(ただし,そのための作製条件の解明が必要である). 原料溶液の印刷方法を検討した結果,インクジェットプリンター印刷法を採用することにした.その理由は次の通りである.(1)異なるパターンの作製を簡単に行えること(有版印刷は版を新たに作製する必要があり手間がかかる),および(2)市販のものにほとんど手を加えずそのまま使える可能性が高いこと.現在,市販のインクジェットプリンターを用いた原料溶液塗布システムを構築中である. また,LabVIEWを用いた液体窒素テラヘルツ計測システムを構築中である.できるだけ簡易なシステムにするために,テラヘルツ検出素子として高温超伝導体YBCO粒界ジョセフソン素子を購入した. これらの成果の一部はInternational Symposium on Superconductivityにて発表した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた印刷法を応用した原料溶液パターン塗布手法の検討については,上記のようにインクジェットプリンターによる溶液塗布システム構築中であり,概ね順調に進んでいる.一方のプレーナー型固有ジョセフソン発振素子の特性評価については,昨年度方針を若干変更し,前述のようにa軸配向の結晶粒成長の条件の解明を行った.そのため,当初の予定と比べると,全体的にはやや遅れているため,上記のように(3)とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
前述のように,平成30年度までに着手した,市販のインクジェットプリンターを用いた原料溶液塗布システムの構築を行う.塗布システムの動作確認等を行いつつ,適宜溶液塗布した試料を熱処理して,その走査型電子顕微鏡による表面観察や抵抗温度特性の測定等を行い,これらのデータを総合して,パターン塗布した場合に所望の特性が得られるかどうかの評価(例えば,どのような作製条件のとき幅数十μmのブリッジ部分でa軸配向の結晶粒が成長するか),およびどの程度の精度でサイズ制御できるか等の評価を行う.その際,適宜長岡技大の施設も利用し,液体窒素温度以下の特性評価等も行う予定である. 上記に並行してLabVIEWを用いたテラヘルツ計測システムの構築を引き続き行い,その動作確認および上述の塗布システムにより作製した試料のテラヘルツ放射特性等の測定を適宜行う.これらの進捗状況によっては,印刷法を用いて作製したプレーナー型固有ジョセフソン発振素子の高出力化等についても検討を行う. これらの成果は令和元年度のInternational Symposium on Superconductivity等で発表する予定である.
|
Causes of Carryover |
平成30年度内の購入を予定していた物品の一部の納入が平成31年4月にずれ込むことになったためであるが,これらの物品は予定通り平成31年4月に納入された.
|