2018 Fiscal Year Research-status Report
ジョセフソン接合を用いず極高感度化を実現する新奇超伝導磁束計の研究
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17K06382
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
武田 正典 静岡大学, 工学部, 准教授 (80470061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 敦 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (70313567)
島影 尚 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (80359091)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カイネティックインダクタンス / 超伝導共振器 / 磁束計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,カイネティックインダクタンスの電流非線形性を利用する超伝導共振器型磁束計の開発を行っている.平成30年度は,(1)本磁束計に用いるNbTiN薄膜のカイネティックインダクタンスの温度依存性及び電流依存性の評価,(2)超伝導共振器型磁束計の動作実証,(3)高温動作に向けたBi-2212薄膜の作製を実施した. (1)に関しては,NbTiN薄膜コプレーナ線路共振器を作製し,その共振周波数からカイネティックインダクタンスを評価した.また,コプレーナ線路の中心導体に直流電流を印加しながら共振周波数を測定することで,カイネティックインダクタンスの電流依存性を調べた.測定したカイネティックインダクタンスの温度依存性及び電流依存性は,理論計算と良い一致を示した.(2)に関しては,前年度設計した超伝導ループと櫛形電極から成る超伝導共振器を作製し,磁場印加による共振周波数変化を測定した.磁場は超伝導ループ付近に共振器とは独立にラインを設け,そのラインに電流を流すことで発生させた.印可電流の大きさに対応した共振周波数変化があることを確認しており,本実験では10pWbの磁束入力に対して約1MHzの共振周波数変化を示している.(3)に関しては,MOD法によるBi-2212薄膜作製を行うにあたり,最適な焼成温度の条件出しを実施した.現在,850℃の焼成温度で臨界温度約72Kの超伝導特性が得られている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は,本研究で実施する超伝導共振器型磁束計の動作実証及び磁束計の高温動作に向けた検討を行うことを目標に挙げた.磁束計の雑音等の定量的な性能評価はまだ実施できていないが,磁束入力に対応した明確な共振周波数変化を観測していることから動作実証という観点では最低限の目標に到達していると考えている.したがって,平成31年度に実施予定の磁束計のアレイ化についてはこれまでの成果を用いて着手可能である.また,本磁束計の高温動作に向けた検討では,MOD法によるBi-2212薄膜作製を実施し,約72Kの臨界温度を得ている.今後は,臨界温度の向上を目指しつつ本磁束計への適用を検討していく.以上の理由から順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方策として,①NbTiN薄膜の細線化及び共振器の結合強度を変えQ値を改善することにより超伝導共振器磁束計の検出感度の向上を目指す.それと同時に②本磁束計のアレイ化動作を実施する.リニアアレイを作製し,応答特性を測定することにより,隣接する共振器間のクロストークを考察する.その結果に基づき本磁束計の空間分解能を評価する.さらに③高温超伝導薄膜のカイネティックインダクタンス及びその電流依存性を評価するとともに,高温超伝導薄膜を用いた本磁束計の設計及び動作検証を実施する予定である.
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