2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of structure-designable random laser and its characterization
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17K06388
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 卓 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (40204036)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ランダムレーザー / 格子状ランダム媒質 / 多重散乱 / 時間領域差分法 / 光硬化性樹脂 / 最適化手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
設計可能なランダムレーザー媒質の実現を目指し、まずはシミュレーション実験として、格子状2次元ランダム増幅媒質の発光特性を時間領域差分 (FDTD) 法を用いて調査した。増幅媒質はレーザー色素をドープしたガラスや樹脂(屈折率1.5)を想定し、その中に気孔(屈折率1.0)をランダムに分散させた。媒質サイズを40×40マイクロメートルに固定し、ひとつの格子(散乱体)サイズを4, 8, 10マイクロメートルと変化させて発光スペクトルを計算した。ひとつの散乱体サイズに対し、散乱体配置が異なる複数の媒質を用意し、それらの最大スペクトルピーク強度、平均スペクトル強度、スペクトルスパイク(ピーク)数などを求めた。その結果、(1) 散乱体サイズ4マイクロメートルの媒質で最大スペクトルピーク強度、平均スペクトル強度、スペクトルスパイク数が最大となる、(2) すべての散乱体サイズの媒質においてレーザー発振が観測されるが、散乱体サイズが10マイクロメートルのものは1個の散乱体内で発振する場合もあり、ランダムレーザー以外の発振機構が発現する可能性がある、という結果を得た。 さらに、4マイクロメートルの媒質において、気孔の部分の充填率(空気充填率)を5~50%に変化させて発光スペクトルを調査した。その結果、空気充填率20~35%のときに最大のスペクトルピーク強度および平均スペクトル強度を得た。これは、空気充填率が低い場合は十分な散乱が得られず、高い場合は増幅領域の減少により光増幅が弱まることによる。スペクトルスパイク数については、充填率依存性はあまり見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の構造作製の容易さを考え、10マイクロメートルを超える散乱体サイズのものでもランダムレーザー発振を起こすことができるかどうかをシミュレーションしたかったが、計算機能力の限界から、そのサイズの計算は行えなかった。しかしながら、そのような大きな散乱体の場合、ランダムレーザー発振とは異なる機構で発振が起こることが明らかとなったため、散乱体サイズは10マイクロメートル未満に抑えることが必要であることが分かった。また、散乱体の総数は100個未満でも十分ランダムレーザー発振を起こすことが明らかとなったため、媒質全体のサイズは40×40マイクロメートル未満でも良いことが示唆された。これより、今後の媒質構造最適化において重要となる、ひとつの媒質当たりの計算時間を短縮することにつながる結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ランダムレーザー発振に必要となる散乱体サイズおよび媒質サイズが明らかになったので、今後は2次元ランダム構造の最適化設計手法の検討に進む。最適化の手法としては、このような2値の対象物に適しているDirect binary search (DBS) 法を検討する。DBS法は試行数が少なくてすむ手法ではあるが、それでも最低数十回の試行が必要となる。現在のGPUを用いたFDTD計算では、ひとつの媒質に対し数時間オーダーの計算時間がかかるため、できるだけ媒質を大きく保ちつつ、かつ現実的な時間で最適化が可能な条件を詰める。 さらに、2次元格子状ランダム構造を実際に作製するのに適した手法についても、試行実験を行いながら検討していく。
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Causes of Carryover |
購入した空間光変調器の価格が見込みよりも低かったこと、および2017年度に使用を予定していた旅費を他の経費から支出したことにより、残額が生じた。2018年度は実験も始まるため、今年度分の助成金と合わせて光学部品等に充当する予定である。
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Research Products
(6 results)