2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of an innovative evaluation method for superconducting devices due to phase transition on two-dimensional superconductors
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17K06390
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
市川 聡夫 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30223085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧瀬 圭正 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (60363321)
篠崎 文重 九州大学, 理学研究院, 名誉教授 (80117126)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超伝導デバイス / 超伝導ゆらぎ / 超伝導-絶縁体転移 / デバイス評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導ゆらぎや超伝導-絶縁体転移が超伝導デバイスへ及ぼす影響を評価するためには、系統的に材料を変えて、違いを調べる必要がある。これまでMo系超伝導薄膜であるMoN、MoRu、MoRe薄膜に対して調べてきた。結果は、電子局在で超伝導転移温度(Tc)と常伝導状態での面抵抗(Rsq)との関係を説明するFinkel'steinの式と良く一致し、弾性散乱時間及び臨界面抵抗(Rc)はどの試料も近い値を示している。 一方で、超伝導特性は薄膜の乱れの状態と密接に関係しており、フェルミ波数(k_F)と平均自由行程(l)の積k_F lの値が目安となり、膜厚を薄くすると減少し、RsqがRcに近づくと1に近づくことを示した。ただし、減少する割合(傾き)は試料の種類によって異なり、材料の特性を示すパラメータとして期待されることがわかった。 RFスパッタ装置で製膜したMoRe薄膜はX線回折ではアモルファス状態になっていることが予想される。また、Reは原子番号も大きく乱れを導入する元素としては効果的であることが期待される。しかしながら、Rcの値は1.5kΩ程度とまだ小さく、現在検討している位相すべりデバイスとして利用するにはRcが量子抵抗である6.45kΩと比較してまだ小さいことから、RFスパッタ時に窒素ガスも導入し、MoRe-N薄膜を窒素ガス流量比と成膜時間を調整して作製し、その諸特性を調べた。スパッタ時間が短い、即ち膜厚が小さいほど窒素ガス流量が多いものがRsqは高く、Tcは低かった。また、変化の幅がスパッタ時間が短いもので大きいことから、薄い膜ほど窒素による乱れの影響が大きいと思われる。今後はさらに数nm程度の薄い膜を作製し超伝導―絶縁体転移の確認、さらに酸化の程度を調べる事も必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MoN、MoRu、MoRe薄膜の作製、超伝導-絶縁体転移の観測などを行い、MoRe-N薄膜の試料作製および測定を進めている。今後はデバイス応用として期待できるMoRe-N薄膜の窒素組成比依存性を測定する予定である。 MoRe-N薄膜はデバイスチップを設計・作製し、物理量の測定にはチップの形態の試料を用いている。 これまでは試料作製、超伝導パラメータの測定に重点をおいて研究を進めてきた。今後は、ロックインアンプを用いた高精度の測定環境の整備が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
MoRe-N薄膜の膜厚や窒素組成比による超伝導パラメータへの影響を調べる。 高精度な測定系を構築し、実際に測定する。MoRe-N超伝導薄膜の電気抵抗およびホール抵抗の振る舞いを材料による乱れとの関係から解明する。 特にホールピークの観測には、ノイズを低減することができる微小信号交流変調法による測定を行う。 2K以下のTc等のデータも加えることにより、測定データがより確度の高いものとなる。共同研究などで2K以下の測定も実施するように検討する。 デバイスパラメータと物理量との関係を明らかにするために、デバイスパラメータを実測し、物理量からの予想と対応しているか検証を行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者と研究分担者の篠崎については、ほぼ計画通りに使用してきており、それぞれの項目の端数で次年度使用額が生じた。次年度の物品費や旅費として使用する。 研究分担者の牧瀬については、試料として用いる材料の変更に伴い、基板やターゲット等の購入を次年度に行うことにしたためである。
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Research Products
(4 results)