2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of photon-stimulated desorption processes of plastics by vacuum ultraviolet light irradiations and application to organic electronics technology
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17K06391
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加来 昌典 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10425621)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光脱離 / 真空紫外光 / 光プロセッシング / 有機材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアクリル,CYTOP光脱離に関する調査を行った.以下に各試料について得られた知見をまとめる.アクリルでは質量数28,29,30の光脱離が確認され,それぞれCO,CHO,C2H6であると同定された.これらは分子内で結合エネルギーの低いC-C,C-O結合が切断されたため光脱離したと考えられる.それらの脱離過程についてCOはC-COOCH3とCO-OCH3の切断により脱離したCOである.CHOはそのCOにチャンバー内残留物質のHが結合して形成されたCHO,もしくはアクリル内で水素引き抜きにより形成されたCHOであると同定された.C2H6はO-CH3,およびC-CH3の結合の切断により脱離したラジカルのCH3同士が結合しC2H6となり検出されたものである.このように,結合エネルギーの低い結合が切断され脱離されるという知見に加えて,脱離後に検出器に到達するまでの過程において,新たに分子が形成されることが示唆された.さらCO,CHO,C2H6の脱離はいずれも側鎖部分から引き起こされていることから,真空紫外光による光脱離は,側鎖にある原子や分子の脱離によることが示された. CYTOPはエレクトロニクス材料にも用いられており,真空紫外光照射による表面改質の可能性も報告されている.CYTOPの分子はC,F,Oによって構成されているが,真空紫外光を照射したところ,質量数19(F)のみの光脱離が確認された.2原子分子における結合エネルギーはC-Fが約5 eVなのに対し,C-C,C-Oは3.8 eVと低いが,Fの様に単結合でないためOとCは脱離に至らなかったと思われる.すなわち,分子構造的にFのように束縛されている結合が一つの場合,脱離に至り易いと考えられる.CYTOPは,真空紫外光照射によって表面のFが光脱離することによって表面改質され疎水性が親水性へ変化することを明らかにした.
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