2018 Fiscal Year Research-status Report
立体像の側面から背面まで全周観察可能な高臨場感3D動画表示方式の研究
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17K06399
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
面谷 信 東海大学, 工学部, 教授 (80297192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤川 知栄美 東海大学, 工学部, 教授 (70319375)
前田 秀一 東海大学, 工学部, 教授 (30580493)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 3D / ディスプレイ / 体積型 / 裸眼 / 放物面鏡 / プロジェクター / 浮上 / 残像 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、3D映画等に実用されている両眼視差方式は、映像突出感は得られるが,立体像の側面等を回り込んで視認はできない。本研究は回転スクリーンにより形成した立体表示領域の任意の3次元座標に光点を照射配置する原理により、全周方向から視認可能な立体実像を形成する高臨場感3D表示技術を提案し、表示性能の確認を行うことを目的とし, 設計支援, 医療技術向上, エンターテインメント用途等への応用を目指している。2018年度には次のような研究実績を上げた。 1. 各方式試行と選定: 本方式の様々な実現態様の中で、本年度は、渦巻き状スクリーン使用型、螺旋滑り型スクリーン使用型の他に、螺旋型スクリーンを放物面鏡対内部に設置して立体像を装置外部に浮上させる新方式、螺旋階段型スクリーンの周囲に再帰性反射シートを設置して立体像を装置外部に浮上させる新方式を新たに考案して、装置試作により表示特性を実験確認した。その結果、螺旋型スクリーンを放物面鏡対内部に設置して立体像を装置外部に浮上させる新方式は観賞性を顕著に向上させる可能性があることを確認できた。 2. 視認性の確保: 1)像ちらつき解消:スクリーン回転を毎分2000回転とすることにより、ちらつきは解消と装置実用性の両立ができることを実験により確認した。 2)視野角確保:スクリーン面の不透明性と散乱特性を様々に変化させた場合の像の視認性向上と回転スクリーンの白濁感の減少の両立に関して定量的測定を行い、スクリーン面の不透明性と散特性についての理想的な組み合わせの範囲を実験により確認した。 3)解像度の確保:当初のスクリーン枚数8枚では粗い立体画像表現となっていたのに対し、渦巻き型および螺旋滑り型の各連続型スクリーンの採用と64枚の断面像を実現するための64段分割プロジェクションにより高解像度化の達成を実験により確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の進捗状況として特に下記のような具体的な研究成果を得ることができた。 1.各方式試行と選定: 特に本期間に重点的に進めた螺旋階段型スクリーンを放物面鏡対内部に設置して立体像を装置外部に浮上させる新方式は、空中に浮遊像を形成し、かつその像に触ることが出来る点で観賞性を顕著に向上させることを確認できた。また放物面鏡対の中に反射鏡を設置し、放物面鏡の外周部分にプロジェクター光導入用の小孔を設けて放物面鏡対の側面にプロジェクターを設置する装置構成により、プロジェクターと反射鏡を隠蔽配置し、装置上面に立体像のみが浮上表示される理想的鑑賞環境を実現することができた。 2.3D像入力表示用画像加工システムの整備 これまで表示用の3D画像データは手作業で作成し、作業時間が長くかつ複雑な3D像の形成が困難であったが、本年度は既存の3次元データから本表示装置用の3D表示データを自動生成するシステムを構築することが出来た。これによって複雑な3D像を短時間に生成することが可能となり、多種の3D像の表示実験効率を大幅に向上させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は次のような推進方策で研究を進める予定である。 1) 2017-2018年度中は、比較的単純な立体像(球形や四角錐形)を用いて評価を進めたが、2018年度に構築した3D表示データ自動生成システムを活用して、人物像や頭部像等、より複雑な立体画像を表示して、表示性能の評価を進める。 2)2017-2018年度に比較評価した各種実現方式の中で、螺旋階段型スクリーンを放物面鏡対内部に設置して立体像を装置外部に浮上させる方式、および、さらに放物面鏡対の中に反射鏡を設置し、放物面鏡の外周部分にプロジェクター光導入用の小孔を設けて放物面鏡対の側面にプロジェクターを設置する装置構成によりプロジェクターと反射鏡を隠蔽配置し装置上面に立体像のみが浮上表示される方式が、触れる立体像を表示できる方式として有望と判断し、2019年度はこれらの方式の検討を重点化して進行させる。
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Causes of Carryover |
物品購入費として予定より低廉で実験目的を達成できるものが購入できたので次年度使用額が生じた。この金額を2019年度請求の助成金と合わせることにより、2019年度の重点課題としている螺旋階段型スクリーンを放物面鏡対内部に設置して立体像を装置外部に浮上させる方式等の装置の高性能化に必要な費用として使用予定である。
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