2018 Fiscal Year Research-status Report

Development of high-speed nonvolatile memory using intersubband transitions in GaN-based resonant tunneling diodes

Research Project

Project/Area Number	17K06409
Research Institution	National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
Principal Investigator	永瀬成範国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (80399500)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords	電子デバイス・機器 / 量子井戸 / トンネル現象 / 超高速情報処理
Outline of Annual Research Achievements	本研究では、窒化ガリウム系共鳴トンネルダイオード（GaN系RTD）でのサブバンド間遷移を用いることで、ピコ秒オーダーで動作可能な高速な不揮発メモリを実現することを目標としている。これより、コンピューターの高速領域で動作可能な不揮発メモリを実現し、将来の省エネルギー化技術として期待されているノーマリ―オフコンピューティングの実現に貢献することを目指している。平成30年度は主に、本不揮発メモリの高速動作化の可能性について探究した。ミリ秒からナノ秒オーダーのパルス幅を持つ電圧パルス列を用いて、本不揮発メモリのON/OFFスイッチング特性のパルス幅依存性を調べた結果、ON/OFF比はパルス幅にほぼ無依存であることを確認した。特に、これまで、GaN系RTDによる不揮発メモリ動作は、GaN中での結晶欠陥への電子捕獲現象と結晶欠陥からの電子放出現象に起因しているという可能性も指摘されていたが、これらの現象は、ミリ秒からマイクロ秒オーダーの比較的遅い応答現象であることなどから、本不揮発メモリ動作がサブバンド間遷移に起因していることを支持する重要な実験結果を得ることに成功した。また、GaN系RTDの等価回路モデルを用いて、本不揮発メモリのスイッチング時間を解析した結果、GaN系RTDのコンタクト抵抗や内部容量を低減し、時定数をさらに低減していくことで、ピコ秒オーダーでの高速動作を実現できる可能性を示した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 平成29年度には、本不揮発メモリの安定動作化に向けて、エンデュランス特性劣化要因の解明やそれを回避するためのデバイス設計指針を示した。また、平成30年度には、本不揮発メモリ動作がサブバンド間遷移に起因していることを明らかにし、ピコ秒オーダーでの高速動作の可能性を示すことができたことから、おおむね順調に進展していると考えている。しかし、メモリ動作原理解明や高速動作化のための実験や解析に、比較的多くの時間を要したために、平成30年度に予定していたメモリ微細化に関する実験を行うまでには至らなかった。
Strategy for Future Research Activity	これまでに得られたデバイス設計指針をもとに、より高速動作及び安定動作が可能な不揮発メモリの実現を目指す。また、これとともに、平成30年度に予定していたメモリ微細化に関する実験を行い、高密度化や低電力化の可能性を探究する。上記実験を通じて得られた成果をもとに、本不揮発メモリの性能限界を明らかにすることで、次世代ノーマリーオフコンピューティング用高速不揮発メモリとしての可能性を示すことを予定している。
Causes of Carryover	（理由）研究開始時には、メモリスイッチング時間評価のために、新たな測定系を構築することを予定していた。しかし、筑波大学微細加工プラットフォーム（共同利用施設）が所有する評価装置を利用させてもらえることになったため、測定系の構築を保留した。そのため、次年度使用額が生じた。（使用計画）上記の繰り越し予算は、本不揮発メモリの更なる高性能化に向けて、より高速なスイッチング動作、及び、より高いエンデュランス特性を評価可能な測定系を構築するために利用することを予定している。また、本研究課題で得られた成果を国内外に速やかに報告するために、学会発表費用などにも割り当てることを予定している。