2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K06417
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
植松 友彦 東京工業大学, 工学院, 教授 (60168656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 哲直 東京工業大学, 工学院, 助教 (00638984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乱数生成問題 / 通信路符号化 / 達成可能領域 / 通信路符号化と乱数生成の連携 / 多重アクセス通信路 / 放送型通信路 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、通信路の出力列から受信者が真の乱数を生成する方法について研究を行い、次の3つの研究実績を得た。 1)放送型通信路や多重アクセス通信路を一般化した多入力・多出力の一般通信路において、通信路の出力列から取り出すことのできる最大の乱数生成レート、ならびに誤差εを許容したときの最大の乱数生成レートを明らかにした。更に、通信路の入力列の他に受信者の一部 (傍受者) が得た出力列とも独立な乱数を生成する場合についても最大乱数生成レートならびに誤差εを許容したときの最大乱数生成レートを明らかにした。 2)上記問題において、2次の最大乱数生成レートを明らかにし、乱数生成に用いることのできる出力列の長さと乱数の生成レートが与えられたときに、乱数生成写像の近似誤差の上限と下限を明らかにした。 3)送受信者が共に1人の無記憶通信路において、送信者が送信した情報を受信者が任意に小さい誤り率で受信すると共に、通信路の出力列から送信者が送信した情報とは独立な乱数を受信者が生成する問題を取り上げ、情報伝送レートと乱数生成レートの限界領域(達成可能領域)を明らかにした。また通信路の入力分布を固定した場合、2つのレートの間にトレードオフ関係が存在しないことを示すと共に、多重アクセス通信路の達成可能領域と同様に、通信路の入力分布を取り替えることによって、トレードオフが生じることを明らかにした。 これらの研究実績について、1)と2)は電子情報通信学会英文論文誌Aに再録された。また、3)は、電子情報通信学会基礎境界ソサイエティ主催の研究集会である「情報理論とその応用シンポジウム」にて発表済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の焦点にあてた3つの課題は、(1)放送型通信路や多重アクセス通信路において、複数の受信者が互いに独立な真の乱数を生成するときの各生成レートの満たすべき限界、(2)放送型通信路や多重アクセス通信路において、出力列の長さを有限にしたときの近似誤差の解析、(3)送受信者の間での乱数の共有と受信者による独立乱数の同時生成、であった。 これらの課題において、(1)と(3)については満足な進展を得ることができた。また、(2)については、(1)の課題の副産物として、2次の乱数生成レートを明らかにしたという点で、詳細な限界式は得られており、数値解析を行なっていないだけで、ほぼ満足な進展を得たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究は推進されているので、平成30年度以降は、当初の計画どおりに、(1)多入力・多出力の無記憶通信路における具体的な乱数生成法の開発、(2)放送型通信路や多重アクセス通信路における送受信者間の乱数の共有と受信者による独立乱数の同時生成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、地方開催の国内研究集会に都合により参加できなかったため、次年度への繰越が生じた。次年度使用額については、平成30年度の旅費として使用する予定である。
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