2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K06418
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
平野 拓一 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (60345361)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小型 / 無線機 / ミリ波 / オンチップアンテナ / シリコン基板 / 低損失 / イオン照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、あらゆるものに通信機能を持たせるために、超小型・高速・低消費電力・低コスト無線機開発のための基礎技術の研究を行う。ミリ波では回路およびアンテナを小型化でき、さらに、オンチップアンテナは1mm以下程度のサイズにできるので、オンチップアンテナ搭載ミリ波帯シリコンCMOSチップは上記目標を実現する有力な候補の1つである。アンテナをチップの外に取り付けるオフチップアンテナでは、チップと基板の接続部における挿入損失と特性劣化が問題であるが、オンチップアンテナの構造を採用することでその問題を解決することができる。しかしながら、オンチップアンテナでは、シリコン基板の損失が大きいことが課題である。本研究では、HまたはHeイオン照射によるシリコン基板の損失低減技術を用いて問題解決を目指している。 平成29年度はオンチップダイポールアンテナ近傍のみにイオン照射した際の損失低減効果について検討した。イオン照射なしの場合に比べて損失を減らせることがわかった。平成30年度はシリコン基板への漏えい電磁波を低減して損失を低減させるためにスルー・シリコン・ビア(TSV)を導入したシミュレーションを行った。TSVがない場合、放射効率が9%になってしまうが、TSVを導入することによって、29%まで高められる可能性があるシミュレーション結果が得られた。また、イオン照射前と後のシリコン基板の比誘電率をテラヘルツ時間領域分光システムにより測定した。比誘電率はイオン照射前に比べて平均3.4%程減少することが確認できた。また、人体を考慮した伝搬シミュレーションを行う際の等価媒質定数についての基礎検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人体近傍のミリ波伝搬特性の評価が少し遅れている。しかしながら、人体の簡易シミュレーションモデル化は完了しているので、遅れはすぐに取り戻すことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
人体近傍のミリ波伝搬特性のシミュレーション評価を行う予定である。また、当初計画どおり、ミリ波帯オンチップアンテナを搭載した無線チップのRF回路を含めたチップ内配置、アーキテクチャの構成について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
論文掲載費が発生していないため、次年度使用額が生じた。今後論文を投稿し、当初計画どおりに予算執行する予定である。
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