2018 Fiscal Year Research-status Report

多値変調光信号の長距離伝送のためのコヒーレント光信号中継

Research Project

Project/Area Number	17K06424
Research Institution	Wakayama University
Principal Investigator	松本正行和歌山大学, システム工学部, 教授 (10181786)
Project Period (FY)	2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords	コヒーレント光通信 / 光位相共役 / 光ファイバ通信 / 光中継伝送
Outline of Annual Research Achievements	１．無キャリア光信号からの光学的キャリア抽出キャリア信号を含まない四位相偏移変調（QPSK）光信号をホモダイン検波してデータを読み出し、その電気信号によって入力QPSK光信号を再変調して変調データを消去しキャリアを再生する方式について、（１）２電極マッハツェンダー変調器による変調データ消去、（２）注入同期半導体レーザによる雑音抑制キャリア光の生成、（３）比例積分制御による光位相安定化、を組み込んだ数値シミュレーションを昨年度に引き続いて行った。比例積分フィードバック制御のパラメタを適切に選ぶことによってキャリア抽出が可能であることを確認した。２．光電気変換型位相共役器による波長分割多重信号の非線形劣化補償の実験光信号をイントラダイン検波し、その検波出力を光変調器に入力して局部発振連続光を変調することで光位相共役を行う光電気変換型位相共役器について、検波器および変調器の帯域幅内に２つの独立な信号チャネルを並べた信号に対する位相共役処理の実験を行い、（１）検波器や電気増幅器、および光変調器の帯域内に収まっていれば、複数の光チャネルを同時に位相共役処理ができること、（２）狭い波長間隔で配置された２チャネルの信号間の四光波混合などの非線形劣化を位相共役によって保障できること、を実験的に確かめた。（２）において、非線形劣化によるビット誤りを位相共役によって抑制できることに加えて、四光波混合によって幅が広がった光信号スペクトルが、位相共役と後半の信号伝送によって元のスペクトル幅に縮小されることを確認した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 次のような進展があり、概ね順調に研究が進捗している。１．無キャリア光信号からの光学的キャリア抽出方式に関して、より実際に近いモデルに対するシミュレーションを行い、キャリア抽出が達成される条件を調べた。線幅が狭いレーザー光源を入手し、キャリア抽出とホモダイン検波を同時に行う実験を開始した。２．光電気変換型位相共役器に関して、強度変調型光信号に対する位相共役処理実験を行い、伝送路の非線形効果による信号劣化を効率的に修復できることを確認した。また、検波器等の電気回路の帯域内であれば、複数の波長多重信号を一括して位相共役処理できることを確認した。
Strategy for Future Research Activity	概ね計画通りに研究を推進する予定である。最近はデータセンター間通信を始めとする短距離の大容量信号伝送の需要が高まっている。本研究の信号中継伝送方式を短距離通信で用いられる変調形式の信号に適用することを試みる。また、光電気変換型位相共役器は検波方式としてコヒーレント検波を用いているので、理想的な条件では高感度の信号処理が可能となる。エルビウム添加光増幅器が使えない光波長帯での中継伝送への応用も考察する。