2017 Fiscal Year Research-status Report
IoT時代の端末信号コンテンションフリー・クラウドレシーバー技術の開発
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17K06425
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上原 一浩 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10221798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨里 繁 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60362951)
田野 哲 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80378835)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 蓄積一括無線信号処理 / 信号分離 / IoT / 無線アクセス |
Outline of Annual Research Achievements |
身の回りの殆どのデバイスに無線機能が搭載され、IoT時代が間近である。しかし人口の10~100倍以上もの無線端末が偏在し、限られた周波数資源の中でこれら低機能の端末が無秩序に通信し、衝突や干渉により受信が出来なくなり、時に人々の安心安全をも脅かすという課題がある。本研究では、ネットワーク上での蓄積一括信号処理技術を確立し、従来の受信機では実現できない、衝突した信号や干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離・復調の実現を目指す。単一周波数の現在の時間情報だけでなく、過去や未来の時間情報、周辺の周波数及び空間情報も用いた分離・復調技術を確立し、適用システムを拡大する。抜本的な周波数有効利用実現の可能性をも秘めた本技術の確立により、将来のIoT基盤の開発に貢献する。 本年度は、クラウドレシーバー機能を具現化するため、RFキャプチャ装置を用い、任意信号発生器及び実際の無線端末の信号を量子化してサーバに蓄積し、一括信号処理アルゴリズムを実行する実証実験プラットフォームを構築し、基本性能を評価した。衝突した2信号の分離・復調アルゴリズムの検討に関しては、次年度に計画していた多値変調信号の検討についても前倒しして実施した。重畳する受信信号の時間的に連続した周波数特性から、短時間フーリエ変換(STFT)により所望信号の中心周波数上の電力成分と位相成分を特徴量として抽出し、所望信号の中心周波数と同一の周波数の無変調信号である基準信号の電力成分と位相成分に乗算することで所望信号を復元する信号分離アルゴリズムについて、2値位相偏移変調信号(BPSK)及び4値位相偏移変調信号(QPSK)に対してその有効性を評価した。本研究の蓄積一括信号処理により、例えばQPSK同期検波については、不要波が重畳した所望信号を従来技術に対し約1/4の近接した中心周波数においても分離が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究実施計画①分離・復調アルゴリズムの検討については、当初計画していた、基本となる2値位相偏移変調信号(BPSK)の分離・復調アルゴリズムの検討に加え、平成30年度の研究実施計画①多値変調信号分離・復調アルゴリズムの検討の一部を前倒しし、4値位相偏移変調信号(QPSK)の評価までを本年度に実施した。一方、平成29年度の研究実施計画①分離・復調アルゴリズムの検討における、周辺アクセスポイントとの協調連携信号処理については、平成30年度の研究実施計画③低遅延化の検討と併せて実施することに計画を変更した。平成29年度の研究実施計画②実証実験プラットフォームの構築、及び③実証実験については、計画通りプラットフォームを構築し、基本性能の評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の研究実施計画に沿って研究を推進していく。平成29年度の研究実施計画①分離・復調アルゴリズムの検討における、周辺アクセスポイントとの協調連携信号処理については、ネットワークの遅延性能の影響がその性能に大きく影響してくるため、平成30年度の研究実施計画③低遅延化の検討と併せて実施し、例えば安全運転支援のようなミリ秒オーダのミッションクリティカルなIoTアプリケーションへの適用可能性も見極めていく。また、平成29年度の研究成果も含め、外部発表を精力的に行っていく。
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