2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a polarization- and frequency-controllable circularly polarized antenna by means of zero-phase-shift line actualized by cross-shape-loop structures
Project/Area Number |
17K06426
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
松永 真由美 東京工科大学, 工学部, 准教授 (30325360)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 小型アンテナ / 円偏波アンテナ / 零位相特性 / 多周波アンテナ / 偏波切り替え |
Outline of Annual Research Achievements |
小型で簡便な構造でありながら、円偏波を複数の周波数で送受受信することが可能なアンテナの開発と、その物理的原理の解明について研究を行っている。 まず、本アンテナを小型に設計できる原理として、零位相分散特性を確認する解析を実施した。その結果、アンテナを構成する際に用いる誘電体基板の特性と、金属エレメントの形状がもたらす共振特性により、零位相分散特性が出現する周波数が存在することを解析的に突き止めた。また、その周波数近傍では、金属エレメント上を流れる電流の向きが逆になる周波数帯があり、それを利用して、右旋と左旋偏波を、極めて近接した周波数帯で切り替えることが可能な、多周波円偏波アンテナの開発に成功した。 本アンテナを小型の通信デバイスへ搭載することを想定し、安定した特性が得られる給電構造、近傍に配置するグラウンド板の形状、アンテナとグラウンド板の近接関係について最適化を行った。また、本アンテナが、UHF帯からミリ波帯にいたる周波数帯で有効である事を確認した。 これらの研究の結果、非常に小型で簡便な構造で円偏波アンテナを実現できる、その設計原理について、解析的に零位相分散特性であることを明確にした。また、零位相分散特性を得るアンテナの構成法について明確に表すことができた。更に、実用化例として、通信用小型携帯端末等に搭載時の基本的設計方法について明示することができた。今後は、試作による実験的検証を行った上で、学術論文としてまとめる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、動作原理の解明と、実用化設計について完了し、応用として、第5世代移動通信システム用アンテナとしての有効性の検証を始めている。この様にコンピュータを用いたシミュレーションやアンテナ設計については、当初の計画以上に進展している。しかし、体調不良、身内の介護、新型コロナウィルス感染拡大防止策などの影響を受け、設計したアンテナの試作や、試作アンテナを用いた実験等については、思う様に実施ができなかった。実証実験と研究成果の公表を通じた研究の更なる発展のため、2020年度への延期申請をしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、体調不良等の理由から、満足に実施することができなかった、試作による実験的検証を実施する。その上で、研究成果の学術論文誌および国際会議における公表を進める。 また、第5世代移動通信システムやその次の世代の通信システムに有効なアンテナの実現へ向け、検討を始める。
|
Causes of Carryover |
身内の介護や不幸、代表者自身の体調不良、さらに、新型コロナウィルス肺炎感染拡大の影響により、研究成果の実証実験ならびに、学術論文や国際会議における報告を年度内に十分に実施することができなかった。そのため、次年度に、研究成果の実証実験ならびに、学術論文や国際会議における発表を実施する事とした。 したがって、未使用額については、まず、2019年度までに設計済みのアンテナの試作費用として支出する。その上で、実証実験の実施のための経費(実験消耗品の購入や、実験設備の利用料など)として支出しアンテナ性能の確認を行う。最後に、それらのデータをまとめ、国際会議や学術誌へ投稿するための投稿費用や参加費、及び参加旅費などとして支出する。
|