2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of adaptive signal processing utilizing massive antennas for power-efficient wireless communications
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17K06427
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牟田 修 九州大学, 日本エジプト科学技術連携センター, 准教授 (80336065)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 無線通信 / 多素子MIMO / 適応信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後増加する大容量無線トラフィックに対処するには、小型基地局を面的に多数設置する小セル無線網と多素子アンテナ(MIMO)による空間信号処理を併用することが有効である。本研究では多素子MIMO無線通信基地局の小型・低消費電力化のための適応信号処理技術の開発を目的とする。 多素子MIMOの指向性制御・空間信号処理を行うにはチャネル情報を正確に推定する必要がある。しかしながら、チャネル推定用のパイロット信号数には限りがあるため、隣接するセルで同一のパイロット信号を再利用する必要がある。そのため、パイロット汚染と呼ばれる隣接セルからパイロット信号への干渉が発生し、チャネル推定精度が劣化する。この問題を解決するために、隣接セルからの干渉の総和が最小となるように各セルにおけるパイロット信号割当を最適化する方式を提案し、その有効性を示した。 多素子MIMOを用いるマクロセル基地局と狭小セル基地局群が共存するヘテロジニアス網では、マクロセル局から狭小セル局への強い干渉が発生する。マクロセルが狭小セルに与えるパイロット干渉(パイロット汚染)を軽減するために、マクロセル用のパイロットシンボルの一部を狭小セルのユーザーに割り当てる方式を提案した。また、互いに強い干渉を与え合う複数の狭小セル基地局群を一つのクラスタとして扱い、同一クラスタ内の基地局同士が連携して支配的な干渉を抑圧する方式を提案した。狭小セルの伝送速度を従来技術と比べて向上できることを示した。 多素子MIMOに適したアンテナ素子あたりのピーク電力の抑制技術として、帯域外輻射電力と帯域内の信号歪みの双方をシステムで定義される許容値内に抑えながら、信号のピーク電力を抑制可能な技術を示した。アンテナを多素子化させた場合の提案技術の基本特性を明らかにするとともに、提案方式の性能を理論的に解析する手法を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多素子MIMOのピーク電力制御技術に加えて、複数の無線局からなる通信網における多素子MIMO基地局間の連携制御の検討を実施し、その有効性を確認した。それらの成果は雑誌論文として掲載されている。当初2年目以降を予定していた項目の一部を初年度で達成できており、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果に基づき方式の改良と種々の特性評価を行い、特性の改善を図る。また、提案技術を用いる多素子MIMOのための受信機構成およびそれに適正した復調処理技術について検討を進める。また、レイトレーシング等のシミュレーション結果に基づき屋内電波伝搬環境の評価モデルを構築して、それを用いた特性検討を行う。
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