2019 Fiscal Year Research-status Report
新しい無線通信方式を実現する空間波動信号処理アクティブアレーアンテナの研究
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17K06429
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
豊田 一彦 佐賀大学, 理工学部, 教授 (80612663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 高行 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60207107)
西山 英輔 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30295026)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アクティブアンテナ / RF信号処理 / 空間波動 / 偏波切り替え / 空間変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の無線通信システムでは電磁波の空間パラメータである偏波は積極的に利用されてこなかった.この電磁波の空間パラメータの一つである偏波を活用した新しい無線通信システムを実現するためには,簡易な構成の送受信機の実現が鍵となる.そこで,本研究課題では,発振器と偏波切替用の変調器および複数のアンテナ素子を一体複合化したアクティブアレーアンテナについて検討を行っており,これにより次世代の高速無線通信システムのための基盤技術を確立することを目指している. 発振器と変調器を一体化したアクティブアレーアンテナの構成として,大きく3つの構成に分けて検討している.1番目は,4つの発振器の相互同期を利用して,結合回路に偏波切替変調機能を持たせるもの.2番目は,2つの発振器を相互結合させるとともに,結合回路に組み込んだスイッチにより偏波を切り替えるもの.3番目は,マルチポート発振器と位相変調器を用いるものである. 本年度は,マルチポート発振器と位相変調器を一体化した構成の特性改善を図るために,これまで検討してきたスロットリング共振器型発振器の他に,マイクロストリップ共振器型発振器を考案し,これを用いた新しい構成のアクティブアレーアンテナについて,その特性をシミュレーションと試作評価により検討した.その結果,1編の著書と1編の学術論文を出版し,1件の国際会議での招待講演,1件の査読付き国際会議および3件の国内会議で発表した.国際会議での発表はBest Paper Awardを受賞し,研究会発表では優秀学生賞が内定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発振器・変調器と平面アンテナを一体複合化することで高周波(RF)領域で信号処理を行う偏波切替え機能を有するアクティブアレーアンテナについて検討した.計画では,3種類の構成のアクティブアレーアンテナについて検討することとしている.1番目の4つの発振器の相互結合を利用するものは,発振と同期という極めてデリケートな現象を扱っているため充分な特性を出すことが難しく原理確認に留まっている.しかしながら,3番目の構成については,順調に進捗しており,著書1編,学術論文1編,国際会議招待講演1件,査読付き国際会議発表1件,国内会議3件と,充分な成果が上がっている.国際会議発表についてはBest Paper Awardを受賞し,研究会発表では優秀学生賞の受賞が内定している.また2番目の構成では,その中心となる偏波切替用スイッチについて,その構成と特性についてシミュレーションで検討し,実現の目処を得ている. 上述の通り,充分な成果は上がっているものの,代表研究者が2019年10月より学部長に就任したため,本研究課題に割くべきエフォート率が低下し,若干の遅延が生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
若干の遅延は生じているものの,多くの研究成果が上がっている.2020年度は,第1の構成である4つの発振器の相互結合を利用するものについて,データを整理し,その実現に向けて改良を行う.また,第2の構成である2つの発振器と偏波切替用のスイッチを用いる構成については,その中心となるスイッチ機能の目処がついたので,アンテナとしての設計を行うとともに試作評価によりその特性を明らかにする予定である.さらに,第3の構成である,マルチポート発振器と位相変調器をアンテナ素子と一体化したアクティブアレーアンテナについては,多くのアイデアがあり,本年度国内学会などで発表してきた.これらについて,ブラッシュアップを行い,データを整理して学会発表および論文出版を行う.
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Causes of Carryover |
(理由)代表研究者が10月より学部長となり,本研究課題に対するエフォート率が低下したためである.また,試作用の電子部品や誘電体基板などの消耗品を節約して使用し,これらの購入費を削減することで,経費を有効に利用することができたためである.
(使用計画)本年度の研究で概ね良好な結果が得られているため,その結果を吟味して,必要に応じて追加データを取得し,論文投稿を行う予定である.そのための経費として使用する.
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Research Products
(10 results)