2020 Fiscal Year Research-status Report
新しい無線通信方式を実現する空間波動信号処理アクティブアレーアンテナの研究
Project/Area Number |
17K06429
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
豊田 一彦 佐賀大学, 理工学部, 教授 (80612663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 高行 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60207107)
西山 英輔 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30295026)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アクティブアンテナ / RF信号処理 / 空間波動 / 偏波切り替え / ビーム切替 / 空間変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,アンテナと能動回路である発振器およびアンテナに機能を持たせるための高周波信号処理回路を一体複合化したアクティブアレーアンテナについての研究を行っている.従来の無線通信システムでは,搬送波の位相や振幅・周波数等のいわゆる時間領域のパラメータを変調して情報伝送を行っていたが,実際の電磁波はそれ以外にも偏波や伝搬方向といった空間領域の波動情報を持っており,次世代の無線通信システムを実現するにはこれらの空間パラメータを有効に利用することが必要となる. 本研究課題では,発振器と変調器をアンテナと一体複合化したアクティブアレーアンテナについて検討してきており,これまで偏波切り替え機能を持ったいくつかの構成のアクティブアレーアンテナを提案・設計し,試作アンテナによりその実現性を実証してきた. 本年度はまず,発振器の構成として新しくPush-Push発振器を用いる構成を提案した.Push-Push発振器は,複数の副発振器の出力を共通共振器で合成することにより高次高調波を出力するものであり,低コストなデバイスを用いて高周波発振器を実現する技術である.さらに,偏波に対するもう一つの空間パラメータである伝搬方向に着目し,ビーム切替機能を有するアクティブアレーアンテナについて,その特性をシミュレーションと試作評価により検討した.その結果,2編の学術論文を投稿し,現在審査中である.また,審査付き国際会議で2件の発表を行い,そのうち1件はStudent Presentation Awardを受賞した.さらに,国際会議での基調講演の招待を受けた.また,3件の国内講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,Gunn発振器を用いた偏波切り替えアクティブアレーアンテナを想定して検討を進めてきたが,本年度はさらに一歩踏み込んで,Push-Push発振器を用いた構成や偏波に対するもう一つの空間パラメータである電磁波の伝搬方向の制御にチャレンジし,アクティブアレーアンテナの更なる発展の可能性を見出した.本研究の成果は,国際会議基調講演1件,学術論文投稿2件,審査付き国際会議2件,国内会議発表3件,受賞1件と大きな成果が上がっている.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍および代表研究者が学部長に就任するなどして,研究の遅延が懸念されたが,コロナ禍の影響により多くの学会・国際会議がオンライン形式となり,出張経費および出張に費やす時間が減り,高いアクティビティを維持することができた. 今後は,これまでの検討の総まとめとして学術論文として成果を社会に還元する予定である.
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Causes of Carryover |
(理由)コロナ禍により学会などがオンラインで開催され,旅費が不要になったため,経費を節約することができた.
(使用計画)本年度の研究でよい結果が得られており,2件の論文投稿を行っている.採択されたのち掲載料として使用する.
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Research Products
(9 results)