2018 Fiscal Year Research-status Report
拡張現実に適用可能なプロジェクタによる投影を用いた実環境からのデータ取得
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17K06450
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
棟安 実治 関西大学, システム理工学部, 教授 (30229942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 壮 関西大学, システム理工学部, 助教 (70780584)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | データ埋め込み / プロジェクタ / プロジェクションマッピング / DCT / DFT / 枠線検出 / 携帯端末 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,昨年度実施したプロジェクタ投影を用いたデータ取得に印刷画像へのデータ埋込・検出手法を適用した場合に関する検証を踏まえて,実験環境の見直しおよび手法の改良とその検証を行った.前年の検証結果から,超短焦点型のプロジェクタでは投影画像の歪みが大きくなりすぎることがわかったので,埋め込みビット数を減らして超短焦点型のプロジェクタに対応可能な方式を考案した.また,短焦点型のプロジェクタであれば,比較的歪みが小さいことを受けて,これまでの印刷画像に適用していた手法を短焦点型のプロジェクタを用いて検証を行った.検証の結果として,短焦点型のプロジェクタであれば,投影距離を0.31mから0.15mまで変更しても95%以上の検出率が得られたため,この方式が適用可能であることが示された.このため,プロジェクタによってアルゴリズムを使い分ける必要があることが明らかになった. 次にユーザインタフェースの開発では,前年検討したアルゴリズムに基づいて,プロジェクタで投影された画像に対し,画像特徴量が利用可能かどうかの検討を行った.超短焦点型,短焦点型両方のプロジェクタを用いて検証を行った結果,画像特徴量を保持するデータベースの方式の一部を改良することにより,問題無く画像特徴量を利用できることが確認できた. サイネージでの利用については,画面の反射などによる検出率低下を避けるために,埋め込み情報を時間的に変化させて表示する手法について検討した.その結果,ある程度有効であることが示されたが,画像補正なども含めて検討すべき事項が多いことも明らかになった.特に,画像を取り込む側の携帯端末のアルゴリズムが重要と考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況としては,研究実績の概要にも示したとおり,研究実施計画に沿って順調に研究を実施している.特にプロジェクタによる壁面投影に対する検出では,昨年度の問題点であった検出率の問題について原因を明らかにすることができ,それを解決可能な手法の開発を行うことができた.このことは,昨年の遅れについて取り戻すことができただけではなく,当初の目的を達成するために重要な進展であったと考えられる. ユーザインタフェースについては,特徴量を利用することについては大きな問題がないことが確認できたが,一方サイネージにおける利用の検討結果を踏まえれば,さらに検討を加えていく必要があると考えられる.そのため,若干の遅れが懸念されるが,原因はある程度明確になっており,現在,検討中である新たな方式により,十分挽回可能であると考えている. そのため,テーマによって多少の早い遅いはあるもののほぼ計画通り,研究は順調に推移していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は研究計画に従い,プロジェクト全体の完成を目指したい.プロジェクタによる壁面投影に対する検出では,プロジェクタの種類によって手法を切り替える,あるいは併用することで手法を統合し,所要の性能を満たせるような方式を確立する.特に投影画像に対して影の影響があるような場合の対策について検討を行い,そのような場合においてもデータ取得が可能となる手法の開発を目指す.ユーザインタフェースの開発では,画像特徴量により画像を識別することにより,読み取り条件を最適化する手法に注力する.誤り訂正符号の導入についても検討を行う予定である.シミュレーションシステムの構築では,これまでの撮影画像の蓄積を活かして,深層学習を用いてシミュレーションシステムを構築することを検討していく.可能であれば,これを利用してアルゴリズムの理論的・定量的な評価を行っていきたい.実験用仮想現実感システムの構築では,まずARマーカとしての性能評価を行い,その上で美術作品の案内を提示するようなシステムの開発を検討するが,壁面投影の方式の検討やユーザインタフェースの検討に時間がかかりそうな場合においては,システムの検討にとどめるものとし,具体的なシステムの開発までは行わず,今後の課題としたい.
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Causes of Carryover |
今年度は,開催地(中国)の事情で国際会議の現地での開催がキャンセルとなり,国内開催に変更になったため海外出張を国内出張に変更した.そのため,学生分の出張旅費を含めて差額の17万程度が執行できなかった. 2019年度は,最終年度として何件かの国際会議への投稿と出張を計画している.その他にも開発環境をMacintoshに統一することにしたため,それに必要な機材の購入にも一部を当てたいと考えている.そのため,差額については着実に消化できると考えている.
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Research Products
(7 results)