2017 Fiscal Year Research-status Report
騒音制御点とマイクロホン位置を分離できる能動騒音制御手法の開発
Project/Area Number |
17K06461
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊藤 良生 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70263481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹岡 直人 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80432607)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 能動騒音制御 / 騒音抑圧 / 適応フィルタ / 音響信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
音響空間において騒音を打ち消すための能動騒音制御(アクティブノイズコントロール:ANC)システムに関して従来は、騒音制御点と誤差検出マイクロホンの位置が離れていることは想定しておらず、誤差検出マイクロホンの位置が限定されるため、ANCの適用範囲が限定されていた。この問題を解決するため、本研究では騒音制御位置と誤差検出マイクロホン位置を分離することが可能な手法の開発を目的とする。特に,本年度は下記2項目について検討した。 騒音制御点及びマイクロホン位置を分離した場合の音響空間のモデル化を実施した。騒音制御点が1つの場合に、従来のANCとは異なり、提案手法では考慮する必要のある経路が1つ増加する。システムでは音響空間に対する補償が必要となる。そこで、追加される経路のインパルス応答、周波数特性を実測するとともに、線形フィルタによるモデル化を実施した。 次に音響空間モデルを基に騒音制御点及びマイクロホン位置分離型ANCシステムの提案を行った。騒音制御点と誤差検出マイクロホン位置が異なる場合、従来手法では騒音制御点の電力を最小化することは困難である。これは誤差検出マイクロホンにより検出される信号を制御しても、騒音を抑圧したい騒音制御点がどこにあるのかシステムからは見えないからである。そこで本提案法では、騒音制御点と誤差検出マイクロホンまでの経路を表す線形フィルタの逆伝達関数を従来のANCシステムに導入した。これにより誤差検出マイクロホンにて得られる信号を制御することにより、騒音制御点における騒音を制御することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の課題は、騒音制御点及びマイクロホン位置を分離した場合の音響空間のモデル化とそれに対応するANCシステムの提案であった。音響空間のモデル化に関して、騒音制御点が1つの場合について実測し、モデル化された。その際、実機試作に影響する温度、騒音電力変動に対する音響空間の変化に関しても追加で実験したため、騒音制御点が複数存在する場合の音響空間モデル化は検討できなかった。しかし、追加実験により騒音制御点が複数存在する場合の音響空間モデル化を行うために考慮すべきことが判明、有意義な結果が得られており、ほぼ計画通りと考える。また、得られた音響モデルを基に騒音制御点及びマイクロホン位置分離型ANCシステムを提案し、計算機シミュレーションによりその有効性も確認されており、当初の予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の研究課題として、騒音制御点が1点の場合の提案ANCシステムの実装に向けた検討と、騒音制御点が複数ある場合の提案システムの検討があげられる。具体的には下記2項目となる。 騒音制御点が1点の場合の提案ANCシステムの実機試作に向けた検討については、平成29年度に得られたソフトウェア開発結果を基に評価ボードへの実装を進める。並行して提案ANCシステムの各種設定値の検討を行う。 平成29年度に得られた成果である騒音制御点が1つの場合に対応した提案ANCシステムを拡張し、騒音制御範囲を広げるANCシステムの提案を行う。騒音制御範囲を広げるために、騒音制御点及び誤差検出マイクロホンがそれぞれ複数ある場合の音響空間のモデル化とそれに対応したANCシステムを検討する。
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Research Products
(3 results)