2018 Fiscal Year Research-status Report
二次電流加熱法によるモータ積層コア熱処理システムの開発
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17K06465
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
槌田 雄二 大分大学, 理工学部, 准教授 (80284785)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄損低減 / 磁気特性改善 / 熱処理 / 二次電流加熱 / 低損失モータ / 積層コア / 無方向性電磁鋼板 / モータ製造工程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、短時間の熱処理によってモータ積層コアの鉄損を低減するシステムの開発を目的とする。モータに用いられている積層コア(電磁鋼板の積層) は、打ち抜き工程、積層工程等の製造工程時に残留応力が発生し、磁気特性は劣化し、鉄損が増加することは一般的に知られている。以前は、製造工程内で焼鈍処理を行い、磁気特性の改善、鉄損低減化が図られていたが、コスト削減のため、現在は行われていない。本申請研究では、研究代表者らが考案した「二次電流 加熱法」により、モータ積層コアを短時間で効率的に加熱することによって鉄損低減化を可能とし、既存のモータ製造工程にも容易に導入可能で、かつ運用も低 コストな「熱処理システム」の開発を実現する。 昨年度の測定データをフィードバックし、熱処理装置の改造を行った。この際、電源電圧・電流の測定と共に、サーチコイルを用いてメインヨーク部及び補助ヨーク部の磁束密度を測定し、ロゴスキーコイルを用いて、モータ積層コアに発生する二次電流を測定し、改造した熱処理装置の仕様を常に明確にし、基本的な現象まで把握し、その後の研究に活す計画であった。これにより、短時間で最大温度が1.5倍上昇する改良が可能となった。また、今年度の目的の1つは、鉄損低減化のメカニズムを解明し、今後の研究へと発展させる事であった。これに対し、X線残留応力測定装置を用い、熱処理後の試料では、残留応力が低減し,磁気特性が改善、結果的に鉄損が軽減する事が明白になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、これまでの予備実験結果を基に二次電流加熱法による熱処理装置を設計し、巻鉄心、平角線などを購入し、熱処理装置自体を製作した。ま た、製作した熱処理装置の仕様を明確にするため、電源電圧・電流の測定と共に、サーチコイルを用いてメインヨーク部及び補助ヨーク部の磁束密度を測定し、仕様を満たす事を明白にした。この際、ロゴスキーコイルを用いて、モータ積層コアに発生する二次電流を測定し、以後の検討のための基礎データとした。製作した熱処理装置により、熱処理したモータ積層コア(リング形状試料)の直流磁気特性と交流磁気特性を算出し、熱処理前後の鉄損を比較し、処理後、鉄損が低減 することを明らかにした。今後、電圧が足りない場合は、所有する昇圧変圧器を使用する。 更に,昨年度の測定データをフィードバックし、熱処理装置の改造を行い、昨年度に比較して、1/5ほどの短時間で最大温度が1.5倍,試料の温度上昇させる事が可能となった。また、鉄損低減化のメカニズムを解明し、今後の研究へと発展させるため、X線残留応力測定装置を用い、熱処理後の試料では、残留応力が低減し、磁気特性が改善、結果的に鉄損が軽減する事が明白になった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、材料工学、熱工学、磁気工学、計測工学、モータ工学と多彩な分野に渡る学際的なものである。研究代表者は、平成26年度より、電気学会の 「電力用磁性材料の高度活用技術調査専門委員会」に「幹事補佐」として参加しており、少なくとも年に数回は、モータメーカ、変圧器メーカ、材料メーカ、磁性材料、磁気計測における第一線の研究者・技術者の方々と議論できる立場にある。これは、本研究を遂行していく上で大きなアドバンテージであり、本研究課 題の今後の推進に役立てて行く。
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Causes of Carryover |
H31.3月に開催された、電気学会全国大会(北海道札幌市)に出席し、研究成果の報告を計画していたため、「大分ー札幌」の旅費を支出予定であった。H30年度より、企業から評価依頼があり、実製品の試料を対象とした取組みを開始している。実製品の試料に関する研究成果の報告は、H31.3月時点では時期尚早であったため、電気学会全国大会(北海道札幌市)での報告を見送った。その後の研究の進展から、実製品の試料についての研究成果も報告可能な状況になっている。このため、最終的な研究成果は、実用的な項目まで含まれることになり、研究計画よりも進展することになる。
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Research Products
(7 results)