2021 Fiscal Year Research-status Report
二次電流加熱法によるモータ積層コア熱処理システムの開発
Project/Area Number |
17K06465
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
槌田 雄二 大分大学, 理工学部, 准教授 (80284785)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 鉄損低減 / 磁気特性改善 / 熱処理 / 二次電流加熱 / 低損失モータ / 積層コア / 無方向性電磁鋼板 / モータ製造工程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、短時間の熱処理によってモータ積層コアの鉄損を低減するシステムの開発を目的とする。モータに用いられている積層コア(電磁鋼板の積層)は、打ち抜き工程、積層工程等の製造工程時に残留応力が発生し、磁気特性は劣化し、鉄損が増加することは一般的に知られている。以前は、製造工程内で焼鈍処理を行い、磁気特性の改善、鉄損低減化が図られていたが、コスト削減のため、現在は行われていない。本申請研究では、研究代表者らが考案した「二次電流 加熱法」により、モータ積層コアを短時間で効率的に加熱することによって鉄損低減化を可能とし、既存のモータ製造工程にも容易に導入可能で、かつ運用も低コストな「熱処理システム」の開発を実現する。 昨年度に引き続き、測定データをフィードバックし、熱処理装置の改造を実施した。具体的には、熱処理システムのメインヨーク部及び補助ヨーク部に薄板 電磁鋼板を用い、両部分でのエネルギーロスを抑え、被加熱物であるモータ積層コアの発熱効率を改善し、目標温度700°Cに対して,800から900°Cの温度上昇を可能とした。この結果、実機形状のモータ積層コアの熱処理を実施し、その磁気特性を測定、鉄損を算出したところ、実機形状のモータ積層コア全体に渡って目標温度の700°C以上を可能とした。実機形状ではティース部があることがリング形状試料と異なるが、バックヨークを800から900°Cに加熱することによっ て、ティース部も700°C加熱可能となった。実機形状のモータ積層コアにおいてバックヨーク部の鉄損低減を確認すると共に、ティース部の磁気特性を評価する測定治具を製作し、ティース部の鉄損も低減することも明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、熱処理が困難なティース部を持つ実機形状のモータ積層コアの熱処理を可能とし、その磁気特性を測定、鉄損が低減することを明らかにした。「二次電流加熱法」用いた熱処理システムのメインヨーク部及び補助ヨーク部、更に巻線部の改良を実施していく過程で、被加熱物であるモータ積層コアのバックヨーク部を目標以上の800から900°Cに加熱することが出来たことは,「計画以上に進展している。」と言える。また,すべての熱処理条件で、急冷とはならず、磁気特性が改善することを明らかにした。更に、酸素濃度を下げることにより、酸化を避け、磁気特性が更に向上することも明らかにした。これは計画以上の成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、材料工学、熱工学、磁気工学、計測工学、モータ工学と多彩な分野に渡る学際的なものである。研究代表者は、令和02年度より、電気学会の「電磁機器高性能化に向けた電力用磁性材料活用技術調査専門委員会」に「委員長」として参加しており、少なくとも年に数回は、モータメーカ、変圧器メー カ、材料メーカ、磁性材料、磁気計測における第一線の研究者・技術者の方々と議論できる立場にある。これは、本研究を遂行していく上で大きなアドバンテー ジであり、本研究課題の今後の推進に役立てて行く。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス対策のため,研究成果の報告を予定していた研究委員会がオンライン開催になった。同研究委員会をはじめ,関係委員会,学術講演会にて,本研究の成果を報告し,関係分野の専門家よりご意見・コメントを頂き,それを元に客観的視点に立ったまとめを行い,最終報告書を作成する。したがって,学術講演会参加費に使用し,研究成果を広く社会に発信していく。
|
Research Products
(2 results)