2017 Fiscal Year Research-status Report
集積型ヘルスケアチップ実現に向けた溶液ゲートタイプのグルコースセンサーの開発
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17K06472
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
小池 一歩 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40351457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 政俊 大阪工業大学, 工学部, 講師 (30758636)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グルコースセンサー / 溶液ゲートFET / 拡張ゲートFET / 酸化物薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
集積型ヘルスケアチップのプラットホームを実現するため、今年度は、ガラス基板上に櫛形ボトムコンタクト電極を形成した後,五酸化タンタル/酸化亜鉛の積層構造膜をスパッタ成膜し、溶液ゲート電界効果トランジスター(FET)を試作した。櫛形ボトムコンタクト電極を採用することで、溶液ゲートFETのドレイン電流や伝達コンダクタンスを従来よりも1桁以上大きくすることに成功した。チャネル層である酸化亜鉛薄膜の結晶性を保ったまま導電性を向上させるため、酸化亜鉛薄膜へのAlドーピングを検討した。Alドープ量を増やすとキャリア密度は予想通り増加したが、従来のInドーピングの場合と比較して、酸化亜鉛薄膜の電子移動度が低くなった。移動度の減少はセンサーの感度低下につながることから、ここでは、Inドープしたチャネル層を採用した。また、チャネル層上部の五酸化タンタル薄膜との界面準位を減らすため、真空一貫で連続成膜を行った。これにより、界面準位での電荷トラップが低減され、溶液ゲートFETの動作安定性が改善された。現在、より実用的である拡張ゲートFETを用いたグルコースセンサーの試作に着手している。 一方、ゾルゲル・スピンコート法やミスト化学気相成長法による酸化物薄膜の成膜技術の開発にも着手した。これらの成膜は非真空プロセスであるため、センサーの母体材料の作製においてより実用的である。現在、酸化物薄膜の成膜条件の最適化を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、FETのチャネル層(酸化亜鉛薄膜)にAlドーピングを行う予定であったが、研究実績の概要で述べたとおり、Alドーピングによってキャリア密度を増やすことはできたが、高い電子移動度が得られなかった。そのため、従来のInドーピングを採用した。Inドープしたチャネル層とゲート絶縁層(五酸化タンタル)を真空一貫で連続成膜したことで、界面準位を減らすことに成功し、溶液ゲートFETの動作安定性が改善された。より実用的である拡張ゲートFETの試作や非真空プロセスでの酸化物薄膜の作製技術の開発に着手したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、非真空プロセスであるゾルゲルスピンコート法やミスト化学気相成長法による成膜技術の開発、溶液ゲートFETならびに拡張ゲートFETを用いたグルコースセンサーの試作を行う。酸化物ゲート表面へ酵素を3次元的に、かつ、強固に固定化する目的で生体高分子膜の適用を検討する。固定化した酵素の活性持続性を調べるとともに、試作したグルコースセンサーの性能評価も行い、実用レベルへ近づける。
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Causes of Carryover |
理由:主に成膜装置のセットアップと薄膜評価に必要な物品を購入したが、予定よりも経費を低く抑えることができたためである。 使用計画:次年度は酵素の固定化やセンサー素子を作製する機会が増えるため、次年度に繰り越した分を試薬などの消耗品の購入に充てる。
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