2018 Fiscal Year Research-status Report
集積型ヘルスケアチップ実現に向けた溶液ゲートタイプのグルコースセンサーの開発
Project/Area Number |
17K06472
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
小池 一歩 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40351457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 政俊 大阪工業大学, 工学部, 講師 (30758636)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | バイオセンサー / グルコースセンサー / 酵素固定化 / シランカップリング / 長鎖アミノシラン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、拡張ゲートFETを用いたグルコースセンサーの開発を進めた。まず、シリコンMOSFETのゲート端子に熱酸化処理を施したチタン電極(拡張ゲート電極)を接続し、その表面にグルコース酸化酵素の固定化を行った。ここで、酵素を固定化する直前に、酸化膜表面に自己単分子膜が形成されやすい長鎖アミノシラン分子を用いてシランカップリング処理を施した。これによって、拡張電極表面に酵素が強固に固定化され、これまで課題であった被検液に長時間晒すと酵素膜が剥がれるという問題が解消された。作製したグルコースセンサーの性能を詳しく調べたところ、センサーの検出可能な濃度範囲が、0.005~0.5mg/mLであることが判明した。この濃度範囲は、血液や尿中に含まれるグルコース濃度を一桁以上下回り、汗や唾液に含まれる低濃度に対応している。1ヶ月の間、繰り返し測定を行ったところ、センサーの感度がほぼ保たれることも明らかにあった。現在、包括法を用いてより多くの酵素を安定して固定化する技術も開発中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長鎖アミノシラン分子を用いたシランカップリング処理によって、拡張ゲート表面に酵素を強固に固定化できるようになった。これにより、測定中に酵素が剥がれることなく、長時間、繰り返しグルコースを検出することが可能になった。このことから、概ね順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
実用レベルのセンサーを実現するため、試作したグルコースセンサーの耐環境特性を調べる。3次元的に酵素を固定化できる包括法を用いて、より多くの酵素を安定して固定化する技術を開発する予定である。引き続き、非真空プロセスによるミスト化学気相成長法で酸化物薄膜を作製する技術も開発し、センサーの母体材料としての可能性を調べる予定である。
|
Causes of Carryover |
前年度に、酵素を固定化するためのシランカップリング剤を共同研究先から無償で提供いただいたことや学術指導者の人件費を抑えたことから、予定よりも支出が少なくなった。その分を次年度に繰り越して、主に材料費に予算を充当して計画的に執行する予定である。
|