2018 Fiscal Year Research-status Report
Measurement of the tongue movement and elucidation of the mechanism during infant sucking
Project/Area Number |
17K06475
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
西 恵理 摂南大学, 理工学部, 講師 (80757435)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新川 拓也 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (50340641)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 計測 / 舌運動 / 吸啜 / 乳児 / 哺乳 / 運動メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
市販されている搾乳器は,乳児の吸啜時における自然な舌の動きと異なるため,母乳を十分に搾乳できない,母体を傷付け乳腺炎になるなどの問題を抱えている。本研究では,力センサを内蔵した人工乳首を用いて,吸啜時における舌の力を計測し,乳児の吸啜メカニズムを解明する。また,母乳摂取動作に関与する最適な舌運動モデルの構築を目的とする。 2018年度においては,(1)乳児の舌が乳首に与える力に関する計測データの収集(2)流体解析ソフトを用いて舌運動シミュレーションを行うことを目的とした。(1)においては,小型力センサを乳首先端部および根元部に複数個内蔵した人工乳首を用いて,乳児の吸啜時における舌-人工乳首接触力を計測する。今年度は,新たに20名の乳児に対して計測することができた。(2)においては,3D-CADソフトを用いて人工乳首の簡易モデルを構築し,舌運動を模擬した変位を人工乳首部に与えた際の乳汁流出量を数値シミュレーションにより推定することを目指した。具体的な研究活動としては,流体解析ソフトを用いて,いくつかのパターンの変位を人工乳首部に与えた際の乳汁流出量を推定し,得られた推定値を用いて重回帰分析を試みた。その結果,舌運動を模擬した変位,位相差および周期から人工乳首の乳汁流出量を推定できる可能性を見出した。 これらの活動実績に基づく研究成果は,今後のモデル化推進に向けた基礎データとして活用する予定である。また,今後さらに多くの計測データを収集することで,そのデータを活用し,母乳摂取に有効な舌運動モデルの構築につなげていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度における課題は,計測データの収集および流体解析ソフトを用いた舌運動シミュレーションを行うことであった。計測においては予定被験者数の70名のうち20名(2017年度と合わせて30名)について行った。その際,同被験児において異なる人工乳首を用いた舌の力の計測および比較を行うことができた。この研究成果は,40th Annual International Conference of the IEEE EMBCにて発表した。また,人工乳首の形状に沿った力を捉えるために,感圧導電性ゴムセンサを内蔵した人工乳首を開発し計測を行った。この成果については,第28回ライフサポート学会フロンティア講演会において学会発表した。また,2017年度に構築した舌の圧力分布計測システムを用いた計測結果について執筆を行い,電気学会論文誌(2018年11月号)に査読付き学術論文として採録された。 さらに3D-CADソフトを用いて人工乳首の簡易モデルを構築し,流体解析ソフトを用いて,いくつかのパターンの変位を人工乳首部に与えた際の乳汁流出量を推定した。得られた推定値を用いて,舌の力学的作用から流出量の推定が可能であるかどうか重回帰分析を試みた結果,舌運動を模擬した変位,位相差および周期から人工乳首の乳汁流出量を推定できる可能性を見出した。この成果については,平成30年電気関係学会関西連合大会で学会発表した。このように順調に研究成果を挙げ,国際的な場においても発表できており,おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的として掲げている母乳摂取動作に関与する舌運動モデルの構築に向けて,舌の蠕動様運動を模した電気的モデルの検討を行う。シミュレーションの結果を用いて,舌の変位と力の関係を明らかにし,舌運動モデルの作製を目指す。モデル作製においては,(1)機構部のパーツ作製,(2)モーターを用いた駆動部の構築,を行う予定である。(1),(2)のステップを経てモデル化が実現できた際には,モデルに沿う人工乳首および力センサ等で計測装置を構築し,伝達運動の再現評価を行う予定である。 また,さらなる計測データの収集も継続する。残り被験者数は40名を想定している。
|
Causes of Carryover |
当初計画では一般から被験児を募り謝金を支払う予定であった。しかし,実際は産婦人科病院の協力が得られたため謝金が不要となり、使用額に差異が生じた。 なお,2019年度は一般から被験児を募る予定である。
|
Research Products
(5 results)