2018 Fiscal Year Research-status Report
低電力・長時間変調パルスレーザを用いた風観測手法の実証
Project/Area Number |
17K06484
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
吉川 栄一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (70619395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛尾 知雄 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (50332961)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ライダ / 風観測 / 航空気象 / 地球環境計測 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
風観測ライダは、風速を空間的に観測する機器であり、航空気象安全や地球環境計測といった用途をはじめ、近年様々な用途において需要が拡大した。風観測ライダは、レーザ出力における技術的限界によって、観測性能が十分でないため(観測距離が短い・観測精度が低い・分解能が悪い)、その利用性を著しく損なっている。申請者らは、レーダ技術を応用して、変復調技術を用いた風観測ライダ方式を新たに提案した。これまでの研究において提案方式を理論的に検証した結果、従来方式の風観測ライダにおける欠点を克服できることが分かった。本研究では、提案する風観測ライダ方式に則ったプロトタイプを製作し、その性能を実証するとともに、実用上の問題点を明らかにすることを目的としている。 平成30年度は、研究計画書に示した当初計画通り、(1)送受直結実験、(2)空中放射実験、の二つの取り組みを実施した。(1)については、前年度において計画を前倒しして着手していたため、十分な検証ができた。具体的には、当初構想していたコード変調パルスの確認において、様々なパルス長、コード調、コード位相キー数を検証し、風観測ライダのプロトタイプを用いて、理論通りの変調ができていることを確認できた。加えて、当初の構想にはなかった、パルスを分割する方法(コードの間に0波形を挿入する方法)を検証し、研究計画書の懸念事項(1)に示した送信系から受信系への直接漏れ込みの影響を軽減できることを確認した。また(2)については、テレスコープを装着して、それを通して空中放射実験を行い、初期データを取得した。一方で、受信感度調整を行っている間に、光ファイバ端に不具合が発生したため、本実験で取得したデータを用いた検証を行うだけの十分な数のデータは取得できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不具合によって(2)空中放射実験は不具合により一部の実施で留まった。しかし(2)は当初から、次年度も継続して実施する計画であり、また前年度報告においても「可能であれば」着手する見込みであった。以上から計画通り順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで計画通り順調に進展しているため、平成31年度も引き続き計画通り、(2)の継続及び(3)観測結果の検証、を実施する。 不具合の修理は当初計画予算の範囲で可能であると試算している。同時に、同様の不具合が発生しないよう対処を行いたい。前記不具合は、実験架台の埃の防護幕を開けた状態で、光入力を維持したまま、誤ってファイバの取り外しを行ってしまったことが原因である考えられる。埃の防護の強化や、ファイバ取り外し手順の徹底などを行いたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は以下の通りである。 ・前々年度からの繰越金があったこと(研究協力者から機材の貸与を受けるなどして、物品費を節約できた) ・予定していた国際学会の費用が節約できたこと(レーザセンシング学会から、研究内容を評価して頂き、学生の参加費用を支援いただけた) 上記の節約ができたことから、数kmのエアロゾル観測を行い上空のエアロゾルの超分解観測など、当初予定を上回る成果を得ることに挑戦したい。そのために必須となる高出力アンプ(EDFA)の購入などを計画している。
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