2017 Fiscal Year Research-status Report
セキュアなサイバーフィジカルシステムのための制御・検証手法の開発
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17K06486
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 孝一 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (50452115)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 事象駆動制御 / 自己駆動制御 / 量子化制御 / マルチエージェントシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
サイバーフィジカルシステムの制御手法として,事象駆動制御および自己駆動制御の研究に取り組んだ. 事象駆動制御とは,事象が生起したときのみ,制御入力を変更する方法である.事象駆動メカニズムはセンサで実装されており,計測値が大きく変化したときのみ,センサから制御器に計測値を送信する.これにより,不必要な通信を抑制することができる.本研究では,センサの量子化誤差を考慮した量子化事象駆動制御に取り組んだ.量子化誤差がある場合,状態を原点に収束させることが難しい.そこで,制御仕様として,状態を原点を含む指定した領域に到達させ,かつ,その領域内に留めることを考えた.この問題は,線形行列不等式を用いた最適化問題(すなわち凸最適化問題)に帰着でき,効率的に計算することができる.提案手法の有効性は計算機実験により検証した. 自己駆動制御とは,次に制御入力を変更する時刻,および印加する制御入力を制御器が計算する手法である.制御入力とサンプリング間隔を同時に計算する手法と言うこともできる.本研究では,マルチエージェントシステムの合意問題におけるピニング制御に自己駆動制御を適用した.合意問題とは,各エージェントの状態をある値に収束させる問題である.また,ピニング制御では,合意の高速化のために外部入力を利用する.自己駆動制御を利用することで,通信を抑制することができる.提案手法の有効性はスケールフリーネットワークを利用した計算機実験により検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い,自己駆動制御および密接に関係している事象駆動制御に取り組んでいる.研究成果も順調に得られていることから,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には,研究計画に沿って進めていくことで,本研究課題を推進できると考えている.一方,サイバーフィジカルシステムは制御や通信などのさまざまな分野の融合領域であり,日々,新しい研究成果が得られている.引き続き,通信,制御,セキュリティなどの幅広い研究会に参加し,大局的な視点から研究を進めていく.また,国際会議にも積極的に参加し,国際的な最新動向の把握に努める.さらに,書籍を購入し,関連分野の基礎的内容の理解を深めていく.
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Causes of Carryover |
【理由】当初の計画通りの成果が得られているが,成果発表の機会が平成30年度に集中しているため,次年度使用額が発生した.また,平成29年度に採録が決定した論文の掲載料を平成30年度に支払うことになっている.以上から,平成30年度に予定している研究を円滑に推進するために,平成29年度の使用額の一部を次年度に繰り越すこととした.
【使用計画】すでに採録が決定している論文の掲載料として使用する予定である.また,国際会議および国内会議の出張旅費としても使用する予定である.
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Research Products
(14 results)