2018 Fiscal Year Research-status Report
制御器状態の最適リセットに基づく拘束システム制御論の構築
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17K06497
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和田 信敬 広島大学, 工学研究科, 教授 (50335709)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モデル予測制御 / 状態リセット / 外乱抑圧 / 目標値追従 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,研究実施計画に沿って,まず,1)外乱抑圧性能を最適化するモデル予測制御アルゴリズムの構築を行い,つぎに,2)構築した制御アルゴリズムの有効性を検証するための実験環境の構築を行った.本研究で構築した制御アルゴリズムを用いることによって制御器の内部状態を適切に最適化することで,外乱抑圧性能を向上させることが可能となる.制御信号および制御器状態のリセット値は,凸最適化問題を解くことにより,効率よく算出できる.この理論的成果については,査読付き国際ジャーナルに投稿し,既に採録決定済みである.また,実機実験のための準備として,アクティブマスダンパーによる振動抑制実験装置を構築した.この実験装置では,稼働マスをサーボモータにより駆動することで,構造物物の振動を能動的に抑制することを目的とする.稼働マスの可動範囲,および,サーボモータの発生トルクには物理的制限があり,これらの制限の範囲で如何に速やかに構造物の振動を抑制するかが課題となる.まず,構築した実験装置の数式モデル化,および,物理パラメータの同定実験を行った.導出した数式モデルについて,提案法を適用した場合に,標準的なH無限大最適制御器と比較して,より効果的に振動抑制を行えることを数値シミュレーションにより示した.これについては,2018年度計測自動制御学会中国支部学術講演会で成果報告済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は,当初予定に従い,外乱抑圧性能を最適化するモデル予測制御アルゴリズムの構築を行い,つぎに,構築した制御アルゴリズムの有効性を検証するための実験環境の構築を行った.制御アルゴリズムの理論的成果については,査読付き国際ジャーナルに投稿し,既に採録決定済みである.また,実機実験のための準備として,アクティブマスダンパーによる振動抑制実験を構築した.さらに,実験装置の数式モデル化,物理パラメータの同定実験を行った.導出した数式モデルについて,提案法を適用した場合に,標準的なH無限大最適制御器と比較して,より効果的に振動抑制を行えることを数値シミュレーションにより示した.これについては,2018年度計測自動制御学会中国支部学術講演会で成果報告済みである.以上のことから,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,まず,昨年度に制作した振動抑制制御実験装置に対して提案制御手法を適用し,その有効性を実験的に確認する.提案制御手法では,サンプル時刻毎に凸最適化問題を解いて,制御信号と制御器状態を決定する.振動抑制制御では,短いサンプル周期で制御アルゴリズムを実装することが必要となる.そのため,提案制御手法をこの実験装置に適用するためには,凸最適化問題を短い時間(数ミリ秒程度)で解くことが必要となる.これを実現する最適化手法の構築とコンピュータ実装を実施する.つぎに,提案したモデル予測制御手法を拡張し,外乱抑圧を達成しつつ目標値追従制御性能を最適化する制御アルゴリズムを構築する.
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Causes of Carryover |
昨年度に予定していた車両実験装置の物品調達が遅れた結果,差額が生じている.今年度は速やかに物品調達を実施する予定である.
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